表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/54

衝突

「やばい!遅刻だ!」


 寝坊をしてしまった俺は、急いで家を出る。

 学校まで走るのは辛いが、遅刻しない為には休まず走るしかないのだ。


「ハァ……ハァ……っ痛あ!」


「きゃっ!」


 急いでいた俺は、目の前にいた人とぶつかる。

 家が建っていて、その人の姿が見えなかったのだ。

 その人が見えた頃には遅かった。

 俺とその人は尻餅をついた。


「だ、大丈夫ですか⁉︎」


 俺はその人に声をかける。

 その人は、俺の学校と同じ制服だった。

 そして、俺は見てしまった。

 ピンク色のパンツを。


「大丈夫じゃないわよ!痛い……じゃない……」


 その人は、自分がパンツを見られたということに気がつく。


「きゃあああ!」


 女子生徒は俺の胸ぐらを掴み、体を揺する。


「見たわね⁉︎私のパンツを!」


「わざと見たわけじゃない!落ち着いてくれ!」


「パンツを見られて落ち着いてられる女の子がいると思うの⁉︎」


 揺する強さは段々増していった。

 だが、突然揺するのを止める。


「そうだ、こんなことしてる場合じゃない!あんた、同じ学校よね⁉︎クラスは⁉︎」


「二年二組です……」


「あんたにパンツを見られたこと、忘れないから!」


 そして、学校の方へ走って行った。


「ふう……酷い目にあったな……って、俺も急がねーと!」


 俺は、再び走り始めた。



 昼休み、俺は美咲と弁当を食べていた。


「そういえば、風峰が寝坊って珍しいよね」


「ああ、そうだな……」


「家に行ってドア叩いても起きないし、電話もしたけど出ないし……」


「昨日出た数学の課題あるだろ?あれやるの忘れてて気が付いた時には十二時で……」


「あー、あれ結構量あったもんねー……」


 弁当を食べながら美咲と話をしていると、教室のドアが開いた。

 俺の席はドアのすぐ近くで、ドアが開いたとすぐにわかるのだ。

 ドアが開いたことを気にしなかったが、突然肩を掴まれた。

 俺は、肩を掴んだ人を見る。


「あんた、私が来るって行ったのに呑気にお弁当なんか食べて……!」


 俺の肩を掴んだ人は、朝ぶつかった女子生徒だった。

 肩を握る力が段々強くなり、肩が痛い。

 ぶつかった後、学校に間に合うことだけを考えてたので、すっかり忘れていた。


「あんた、私のこと忘れてたでしょ?」


「は、はい……」


「こ、このおぉ!」


 俺の肩をさらに強く握る。


「痛い痛い!」


「風峰、この人誰……?なんか、怒ってるみたいだけど……」


「朝この人とぶつかって、まあ、色々あったんだ……痛い!」


「まあまあ落ち着いて、美奈江ちゃん」


 俺の教室にやってきた里奈先輩は、美奈江と呼ばれた女子生徒の腕を掴み、俺の方から離す。


「里奈先輩⁉︎この人と知り合いなんですか⁉︎」


「うん。同じクラスの美奈江ちゃん。私の友達だよ」


 まさか、この女子生徒が里奈先輩の友達だとは思わなかった。

 だが、これは許してもらうチャンスだ。


「里奈先輩。わざとぶつかったわけじゃないのにこんなに怒って……里奈先輩も何か言ってください!」


 俺は里奈先輩に助けを求めた。

 だが、里奈先輩は少し考えた。


「どうしようかなー。風峰くん、私に最近冷たいし、意地悪だしなー」


 里奈先輩はそう言う。

 顔が少し笑っていた。

 俺をいじって遊ぼうとしているのだろう。


「早く謝らないと、あんたは変態だって学校に広めるわよ!」


「なっ!」


 それはまずい。


「謝ったら、変態だって広めるのはこのクラスだけにしといてあげるわ」


 このクラスにだけ言っても、すぐにその情報は広まるだろう。

 どうにかして先輩に助けてもらわなければ。


「里奈先輩、お願いします……」


「えー?なんで私が風峰くんを助けないといけないのかなー?」


「俺の学校生活が終わります……お願いします……」


「……しょうがないなぁ」


 里奈先輩はそう言うと、美奈江と呼ばれる女子生徒の耳元で囁く。

 すると、女子生徒は目を大きくした。


「ダ、ダメよ!やめて!」


「じゃあ、風峰くんを許してあげて」


 里奈先輩は笑顔で言う。


「今回は許してあげる。だけど、次はないからね!」


 女子生徒は仕方なく謝ると、教室から出て行った。


「ありがとうございます、里奈先輩」


「どーいたしましてー。それじゃ、私も戻るね」


 里奈先輩は俺たちに手を振って、教室を出た。


「風峰、大変だったね……」


「ああ……」


 女子生徒が戻ったことにより、静かな昼休みが戻ってきた。

 俺と美咲は、再び弁当を食べ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ