こたつ
学校の近くのスーパーにある雑貨屋に、俺たちはやってきた。
可愛い小物や、わけのわからない置物など、色々な物が置いてあった。
「それじゃ、私はあっちを見てきます!先輩方、何かいいものがあったら教えてください!」
「私も行く……」
そう言って、二人は行ってしまった。
残された俺と美咲と里奈先輩は、二人の部屋に合いそうな物を探すことにした。
色々見てみて良さそうと思ったものは、木でできた猫の置物、花柄の花瓶などだ。
俺と美咲が探している時に里奈先輩は、昔の人が作ったような謎の形をした人形や、なんなのかわからないオブジェのようなものを持って来た。
もちろん、戻してくださいと言って、元の場所に戻させる。
しかし、里奈先輩はそれでもよくわからないものを持って来るので、俺は無視することにした。
「風峰くーん!なんか今日冷たいよー!」
「そんなことないです」
俺は先輩の顔を見ずに言う。
「ほらー、冷たいよー!」
「里奈先輩、風峰は多分寝不足でイライラしてるんだと思います。だから、あまりしつこいと風峰怒りますよ?」
「あっ、そういえば寝不足だったね……」
美咲に言われ、先輩は大人しくなった。
それから、とりあえず良さそうなものを見つけ、春花と秋葉を呼んだ。
二人は俺たちが選んだ物を気に入ったらしく、早速レジに持っていった。
「二人ともー。こんなのはどう?」
里奈先輩は、先ほど俺たちに見せてきたよくわからないオブジェを見せる。
「な、なんですかそれ……?いらないです……」
「やっぱり、この先輩変な人……」
「変な人じゃないよー!」
春花に変な人と言われ、こちらに戻ってきた先輩は美咲に抱きつく。
「よしよーし」
美咲は、抱きついてきた先輩の頭を撫でる。
先輩は次第に笑顔になっていった。
いや、笑顔というよりにやけていると言ったほうがいいかもしれない。
口からよだれを垂らしながら、うへへって声を出している。
「先輩、そろそろ離れてくださーい」
「もうちょっとだけ……」
「ここ、お店ですから。そろそろ離れないとお店の迷惑になっちゃいますよ……」
「はーい……」
里奈先輩は、仕方なく離れた。
持っていたテッシュで、よだれを拭く。
「買ってきましたー!」
「買ってきました……!」
二人は、買った物が入ったビニール袋を持って、こちらに戻ってきた。
「先輩方、今日はありがとうございました!」
「ありがとうございました……!」
二人は同時に頭をぺこりと下げる。
「それで、またお願いなんですけど……」
「ん?なんだ?」
「どこに飾ったらいいかわからないから、先輩方に決めて欲しいんです……」
時刻は四時。
俺はこのあと用事は特にない。
美咲と里奈先輩も特に用事はないようなので、俺たちは二人の家に行くことにした。
俺たちは、二人の家にやってきた。
二人の家に来るのは、これが二回目だ。
部屋は少し散らかっていたが、最初に来た時ほどではなかった。
「ははは!なんで本にブラジャー挟んであんのー⁉︎」
里奈先輩は勝手に雑誌を開いてブラジャーを発見して笑っていた。
「いや、ページわかんなくなるので……」
「いやでも、普通ブラジャー挟まないでしょー。秋葉ちゃん、変な子ー」
「里奈先輩に言われたくないですよー!」
「なんだとー?」
里奈先輩はいきなり立ち上がり、秋葉を後ろから抱き上げる。
「ちょっ、離してください!」
「だったらさっき言ったことを取り消せー。そして、自分は変な子だと認めるんだー」
「いーやーでーすー!」
里奈先輩と秋葉は遊び始めてしまったので、俺は美咲と春花と一緒に、買った物を置くことにした。
「えーっと、まずはこの猫の置物を置こう」
俺は良さそうな場所を探した。
そんなに大きくないから、テレビの前に置くのがいいんじゃないかと思い、俺はテレビの前に置いた。
「次は花瓶だねー」
美咲は花瓶を手に取り、部屋を見渡す。
雑誌が収納されている棚を見つけた美咲は、その上に花瓶を置く。
「花も買ってくればよかったねー」
そう言いながら、次の物を袋から取り出す。
「これはここがいいかなー……いや、こっちかなー……」
美咲は悩み、良さそうな場所に置いて行く。
そして三十分後、部屋には買って来た小物などが置かれ、少し明るくなったような気がした。
「いやー、よくなったねー」
美咲はそう言いながら部屋を見渡す。
「先輩……ありがとうございます……」
春花は、俺と美咲にお礼を言う。
「秋葉ちゃんも、先輩にお礼……」
三十分間、里奈先輩と秋葉は遊んでいた。
秋葉を抱っこしたことから始まり、なぜか腕相撲を開始したり、くすぐり合ったりしていた。
「先輩ありがとうございます!そしてごめんなさい!私、ずっと遊んでて……」
「いいよいいよ。気にしないで」
美咲は、秋葉にそう言う。
「あっ、そうだ!そろそろ寒くなるかなーって思って、こたつを買ったんです!だから先輩方、こたつでのんびりしていってください!」
秋葉は、部屋の端にあるダンボールを見る。
二人はダンボールから折りたたみ式のテーブルと、布団を取り出した。
俺たちはこたつの準備を手伝い、そして、部屋の真ん中にこたつを置いた。
「やったー!こたつだー!」
里奈先輩がこたつの中に潜り込む。
俺たちは普通にコタツに入る。
すると、急に足の裏がくすぐったくなった。
俺はこたつの中を覗く。
予想通り、先輩が俺の足を指先でくすぐっていた。
先輩はにやっと笑っていた。
「先輩……蹴りますよ……?」
「ごめんなさい!」
先輩は謝り、俺の足をくすぐるのをやめた。
そのかわり、美咲の足に抱きついた。
「ひゃあ!」
美咲はびっくりして、こたつの中を覗き込む。
「柔らかい太もも抱き枕……」
「里奈先輩、気持ち悪いですよー!」
美咲は足を引き抜こうとするが、里奈先輩は足をがっちり抑えていて離そうとしない。
どうしても離れてくれないので、美咲は諦めた。
そして、俺たちはこたつで温まっていた。
俺たちは寝不足だったので、俺たちはこたつでぐっすり眠ってしまった。
里奈先輩も美咲の足を抱いたまま眠ってしまった。
起きた時は、もうすでに十時だった。




