プールの帰り
夕方になり、俺たちは帰るためにバスに乗っていた。
春花と秋葉は、疲れて寝てしまった。
寄り添って寝ている姿は、仲がいい証だろう。
「二人とも寝ちゃったな」
「そうだねー」
バスにはほとんど人が乗っていなかった。
なので、後ろの広い座席に座ることができた。
「楽しかったけど、おじさんに絡まれて大変だったよねー」
「店員が警備員を呼んでくれてなかったら、あのまま美咲、大変だったな」
美咲と話していると、バスが揺れた。
その衝撃で、春花の体がこちらに倒れる。
秋葉の体も、春花の体を追いかけるように倒れる。
「……風峰、起こしちゃダメだよ?」
「わ、わかってるって」
恥ずかしいので起こしたかったが、美咲に起こすなと言われたので、我慢することにした。
「風峰と春花ちゃんと秋葉ちゃん、なんか兄妹みたいだね。仲良く三人で並んで、しかも、寄り添ってるし」
みたいではなく本当の兄妹だが、口に出さない。
美咲が、突然俺の方に倒れてきた。
美咲の肩が、俺の肩に当たる。
「これで私も兄妹の仲間入りー、なーんて」
「……美咲は俺の妹じゃなくて、俺の彼女だろ?」
「ふふ、そーだね」
俺たちが並んでる姿を見たら、兄妹だと思うだろう。
それくらい、体を寄せ合って座っているのだから。
「それじゃ、風峰。着いたら起こして」
美咲はそう言うと、目を閉じた。
数分後、美咲は寝てしまった。
起きているのは俺だけになった。
着いたら起こそうと思っていたが、バスに入ってくる光が暖かくて、俺も寝てしまった。
「風峰ー!起こしてっていったじゃん!」
「ここどこー⁉︎」
「帰りたい……」
「すまん!俺も寝てしまった!」
バスは、知らない場所まで来てしまった。
その後、再びバスに乗って家に帰った。
そして、家に帰る頃には、辺りは真っ暗になっていた。