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プロローグ

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キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを告げるチャイムがなる。

「それじゃあ終わり。気をつけて帰れよ」

「きりーつ気をつけ、礼」

「「「「ありがとうございました」」」」

先生の終わりの合図の後、どこかけだるげな挨拶が終わると、ガヤガヤと生徒達は談笑し始める。

「鈴、今日の夜10時からシューティング・オンラインやろうぜ」

「OK、なら夜な。じゃあな」

「じゃあなー」

友人とゲームをする約束をし、教室から足早に去っていく少年は高校1年生の日野原鈴(ひのはらりん)。今日も全校生徒の中で一番最初に校門を抜けると、帰路に就いた。


俺、日野原鈴の通っている「桐山台高校」は俺の家から徒歩15分の距離だ。家の間など近道をすれば5分ほどで学校に到着できる。走れば3分だ。この高校を選んだのはもちろんギリギリまで寝ていたいからだ。この地域では一番偏差値が高いが、寝るためには努力を惜しまない。1日5時間は勉強した。と、そんなこんなで俺の家に到着した。門を開けて自宅に入り、自分の部屋に向かう。

「ただいまー」

こう言うと、いつも母さんが「おかえり」と言ってくれるはずなんだが…

「買い物にでも行ったのかな…ん?」

リビングを通ると机の上に紙と1000円札が置いてある。

『今日は仕事で帰ってこれないので、机の上の1000円札で晩御飯を食べてください。ごめんね。母より』

そういえば最近仕事が忙しい、なんて言ってた気がする。今日の晩御飯は何にしようか。久しぶりにカレーでも食べに行くか。そんなことを考えながら2階の自室に荷物を置いた。


──────────


「ありがとう、またよろしくな!」

「今度は来週くらいに来ますね。それじゃあまた」

店から出る。やっぱり久しぶりに食べるカレーは美味しいな。ちなみに俺が食べたのはカツカレーだ。この店は家から結構離れているが、昔親に連れてきて貰った時、美味しかったので10年ほど経った今でも通い続けている。最近は高校生になって忙しかったので、なかなか行けていなかった。多分3ヶ月ぶりだ。家には電車に乗って帰る。ここから最寄り駅までは近く、お腹も膨れたのでゆっくり歩いていく。と、正面にコンビニがある。喉もかわいたし少し寄って行くか。

コンビニに近づいていく内に、コンビニの前に10人ほどが屯しているのが見えた。時計を確認する。9時2分だ。

「まだ9時なんだけどなあ…まあ、コンビニはいいか」

コンビニに行くのをやめ、駅に向かう。そういえば10時からゲームをする約束をしていたな。あと1時間ほどなら間に合いそうだ。駅の自販機で飲み物を買う。俺が好きなコーラを探すが売っていないみたいだ。自販機は種類が少ないのでコンビニに行きたかったが仕方が無い。お茶を購入して近くにあった椅子に座っていると、声をかけられた。

「あれ?日野原くん?」

「ん…?委員長か。どうしたんだこんな所で」

俺が委員長と呼んだ彼女の名前は笠原美紀(かさはらみき)。俺の在籍する1-5組の委員長だ。中学から一緒で3年間同じクラスだった。中学でも3年間委員長をやっていたので、敬意を表して委員長と呼んでいる。

「私はここの近くにある病院に。日野原くんは?」

「俺はこの近くの屋カレーの専門店に。この近くは病院は結構あるけど、どこの病院に?」

「えーっと、丘の上にある総合病院だよ。お母さんが過労で倒れちゃって」

「そうか、それは大変だな…」

そんな話をしていると電車がやってきた。ここから家の近くの駅までは40分くらいかかる。電車内はそれほど人がいなかった。空いている席を見つけて委員長と座る。座席に座ると睡魔に襲われ、まあ少しならいいか、と目を閉じた。


─────────


夢を見た。

黒いローブを羽織った女性が何やら水面を覗いている。

なにか口を動かしているが、何も音が聞こえない。

女性にやっと笑ったかと思うと、水面から3つの、何やら色々な色をした炎のようなものが出てきた。現実には起こりえないが、夢ならば何が起こってもおかしくない。

1つ目の炎は、虹色に輝く、それはそれは綺麗な炎。

2つ目は白く、ただ白い、真っ白な炎。

そして、最後の3つ目は、白と黒、両方が混ざりあった、今は白が多いが、ふとした瞬間に真っ黒になってしまいそうな、そんな危なっかしい炎。

その全てが水面から出たのを確認すると、黒いローブの女性は手のひらから矢印が無限に交差する謎の玉を、白と黒が混ざった炎に投げ入れた────


──────────


「…くん。…のはらくん!もう着いたよ」

「ん、ああ、起こしてくれてありがとう」

外を見ると家の近くの駅に着いていた。何だか体がだるく、痛い。変な寝方をしたかな。電車から降り、改札を通る。この時間だからか、ここに人がそんなにいないからか、降りる人は少なく、乗る人も少なかった。

「もう夜遅い時間だし、家まで送るよ」

「ありがとう。それじゃあご好意に甘えて」

時計を確認する。9時43分だ。委員長の家はここから10分くらいだったか。中学の時の体育会での打ち上げは毎回委員長の家で開かれていたので、場所は覚えている。送り届けてから走れば10時には間に合うな。一応少し遅れるかもしれないと連絡しておこう。すまないが。

委員長と他愛のない会話をし、家の前に到着する。。

「送ってくれてありがとう。それじゃあ、また明日、学校でね」

「うん、明日。おやすみ」

「おやすみなさい」

そう言って後ろを振り返り、一歩踏み出すと───地面が突然発光した。

突然の事態にはっと後ろを振り返る。家の中に入ろうとしていた委員長の足元も同じように発光している。何が起こっているのかがわからない。謎の浮遊感のようなものが体全身を襲う。意識が途切れる前、委員長がこちらに手を伸ばしたのが、見えた。

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