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お鬱に帰ろう

作者: 藤井秀央

僕は、今日も仕事を終えた。仕事といっても、ただただ、家に居たばかりである。そう、僕の仕事は人間。人間として、ここに存在することが仕事なのだ。別に、お金を稼ぐ必要も無い。存在が仕事なのだから。

一日の仕事が終われば、それから、ただ鬱になるだけである。皆さんは、仕事を終えて、重い足を地面に引きずり、お家に帰るだろう。でも、僕の場合は、お家には帰らない。お鬱に帰るのだ。

ここで一つおかしな所が出てくる。存在が仕事ならば、24時間、無休で働き続けることになる。そうなれば、僕はお鬱に帰ることは無いはずだ。

でも、僕はしっかりお鬱に帰っている。それどころか、お鬱に帰ったまま、仕事もせずにいる。

なぜなら、最近では仕事をする必要が失くなったのだ。昔は、存在を周りに示しておく必要があった。しかし、それだけでは、当然ながら、周りも、存在だけの僕に慣れ、存在だけなのだから、いる意義も薄れていく。そうなれば、意義の薄れと共に、僕のことは、相手にしなくなる。相手にされなければ、僕が存在する必要は失くなる。

そして、僕は、お鬱から出なくなった。

お鬱に引きこもったのだ。

僕は、この世に要らない人間……いや、もう人間という仕事は辞めたのだ。ニートなる人間ではなくなった。ニートという職業から、BOMに転職した。


ただ、お鬱にいるだけの。
















昔は、フリーターは職業では無かった。でも今では、立派な、一つの職業だ。

今は、ニートは職業では無い。でもいつか、職業になるだろう。

未来では、BOMは職業では無いだろう。でも、さらに未来には、職業になるはずだ。


僕は、その未来に生まれるべきだったのだろうか。

BOMという名称は、ブロック オブ メランコリー、つまり、鬱の塊という意味ですが、そこには、何の意味もありません。英語として正しいのかも分かりません。

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― 新着の感想 ―
[一言]  一時期、主人公と同じようなことを考えたことがあるので、共感しました。  読み進めていくうちに、主人公の様子に引き込まれていき、こわくなってしまいました。やっぱり、誰からも必要とされないのは…
[一言] さすがに読みやすい文章ですね! 文中での『BOM』は、何のことだか分りませんでしたが、ちゃんとフォローしてあるところもさすがです。 ストーリー的には難しいテーマに挑戦していて、かなりの冒険だ…
[一言]  確かに生計を立てると言う意味では、ニートやなんかも職業なのかもしれませんよね。それで飯が食えるわけですから。  でも一般的意味において、職業といえるかというと・・・。まさか履歴書に書けませ…
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