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右をご覧ください。リア充ですね。
左をご覧ください。リア充ですね。
目の前をご覧ください。... ...もういいや。
どっこもかしこもリア充、リア充。
教室にも、中庭にも、今いる廊下にも。
見せつけてんのかバカどもめ。
はい?俺ですか?... ...うるせぇよ。
ハイハイ、どうせ俺はリア充に嫉妬してるソロ充ですよ。
なれるならば、普通スペックのフラグたちまくり少年になりたかったよ。
俺のスペック?ああ、紹介忘れてたわ。
俺は私立玲頼学園2年、青春まっただ中17歳。名前は藤崎 青。部活はやってない。ここはまだいいんだ。こっからだ。
戸籍上父は性格最悪汚職政治家、母は元モデル。血縁上父(不倫相手)は世界一の剣道選手だ。そして、俺はそんな家族全員に似ている。←ココだ。
これで全てが終わった。リアルで最悪。
俺はそんな家族が大嫌いで逃げた。
兄貴もいたが、おいていった。
次見たのは、月9見てたときっていうオチつきだがな。
そして、俺はじいちゃん(唯一の家族。元ホームレス。株のおかげで今は億万長者。)の家に青狸化している。
まあ、これが俺の身の上。
他人から見りゃサイコーだろーが、いっぺんなってみろ。死ねるぞ。
↑あのスペック、あれ主人公の隣キャラまんまだぞ。
知ってるか?主人公の隣キャラって、リア充いねーんだぞ。
友達(ボッチ防止兼パシリ)と呼べるやつはいっぱいいるがな... ...。
「おい、青~。プレゼント」
はっ、後ろを振り返ると一人の男に群がる女たちと目があった。
「あっ、青様よ」
バレた。背中に悪寒が走る。
俺はダッシュでリア充どもを押し退ける。
突き当たりを曲がり、階段を降りて、いつものルートだ。
たっ、たっ、た、自分の足音がはっきりと聞こえる。周りの人が減ったのだ。
そらそうだ、ここの空気は一段と重い。
そして、その一番奥にどしりと構えるドア。俺はゆっくりとドアを開く。
ギギギィ。大きな音を立て、ふてぶてしく開いたドアの先には書類と机と怪物がいた。
「また追われてたのか」
怪物は嘲笑いながら俺に言う。
ゲスい。ココまでゲス顔が似合うのはこいつだけだろう。
学園始まって以来一度しかない入試テスト満点合格者で、2年で生徒会長という破格のキャリア。
そして、美しく整った顔。
そう、涼宮鑪彼女こそ残念な美女... ...。
秘密が多き女でもあってるだろうけど。
「妄想中か?変態野郎。楽しんでるとこ悪いが、来客だ。もてなせ」
耳をすますと、足音が聞こえる。
てゆうか、分かってんなら自分でやれ。
俺はタタラを見るが、彼女は素知らぬ顔でフッカフカのいすに座る。
こりゃダメだ。俺もこいつだけにゃ頭が上がらない。
俺は書類をかき分け、「よ~いお茶」を引っ張り出す。
そして、俺がそのへんの湯呑みに移そうとしたその時、
「青!探したぞ」
どでかい声で入ってきたのは、身長180センチはあろう優男。
「うるせぇ。声デカイわ」
俺は慎重にお茶を注ぎつつ、返す。
まったく、何回あいつに声がデカイと言ったことか。ニワトリめ。
「俺はお前のために女を連れてきてんのに、お前はいつもいつもここに逃げる」
少し怒りを含んだ声でニワトリは言う。
この会話もほぼ日常茶飯事になってるぞ。
「だ、か、ら、前も言ったろ。ああいうやつらはタイプじゃないって。ほれ、よそ者。茶だ」
茶を差し出すと、ニワトリは一気に飲み、むつれっ顔で俺を見る。
いや~、綺麗な顔してんな。ニワトリにしては。
ニワトリ、藤堂 辰彦は美男だ。
そして、超金持ちのボンボン。
その上俺レベルに運動はでき、天然ボケという、モテモテ野郎なのだ。
この時点で俺の怒りの矛対象だか、千歩譲ってここは許そう。
... ... ...何を隠そう、こいつは「自分がトラブルメーカーだと知らないトラブルメーカー」だ。
呪いの藁人形があれば、こいつを呪いたい。そういうやつだ。
だから、タタラには未だによそ者扱いされてんだ。
なんか、ムカついてきた。
「辰彦、そのお茶賞味期限1年きれてたわ」
すると、辰彦はすぐさま喉を押さえ、
「死ぬ、死ぬ、俺には家族がいるのに」
と嘆く。
フッ、死亡フラグたちまくりだぜ。
ざっまあみやがれぇ~。
「フフフ」
ズズズズズ、背中に殺気が走る。
そうっとタタラの方を見ると、タタラが笑っていた。
怖い、怖い、怖い。
タタラが笑ったぁ。タタラ、タタラァ。
怖いわ。
生徒会室の怪談なら、俺は語れるな。