スターライン
誰もいない気がする住宅街
カラスの泣き声が響いている
風で軋む電線のリズムで
空は夜の顔を覗かせている
あの角を右に曲がれば
現実に戻されそうで
もし左に曲がってみたら
夢に閉じ込められそうで
そんなわけないかな
きっとそう思いたいだけ
足を止める理由をつけて
自分を肯定したいだけ
噛み砕けない気分を
抱えたまま家路にく
玄関を開けて階段を昇る
どの音も鈍く深く
心に沈んでいった
暗い部屋一人ラジオをつけて
話題はくだらない恋の悩みさ
知りたいことはそうじゃないんだ
かく言う自分も分からないけど
灯りがちらつき始めた住宅街
遠くからバイクのエンジン音
ベランダから見える夜空は
無数の星を抱えて離さない
指で適当になぞった線を
飛び越えてその向こう側に
行けたらこの鈍い気分も
銀河にだってなれたらいいのに
無視されたラジオから聞こえる
話題は相変わらず恋の話さ
もう少しマシなことを教えてくれ
それが何かは分からないんだけど
脳裏にまだ焼き付いている
右か左か分からない時間
それを引きずったまま
なぞった線の向こう側
銀河の果てで何を指す
ラジオから聞こえる話題は
明日の天気の予想
知りたいことは山ほどあるが
今はこれぐらいで丁度良い
読んで頂き、ありがとうございます。