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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
専門学校、職場体験編
94/120

日本総合鉄道での職場体験

 うろな地下鉄での慌ただしい職場体験を終えた翌日、今日は日本総合鉄道のうろな駅でお世話になる。朝陽が差し込む古びた通勤ラッシュの電車の四人ボックスは、僕を含む全員がうろな駅で降車するようで、人混みを掻き分ける負担が軽減されて助かった。


『おはようございます。うろな~、うろなに到着です。6番線の電車は、西船橋にしふなばし大宮おおみや方面、吾妻あがつま線直通の大前おおまえ行きです。後ろ6両は途中の籠原かごはら止まり、前4両が終点の大前までまいります』


 ドアが開いて生暖かい風を感じると同時に女性係員のアナウンスが響き渡る、駅ではお決まりの流れ。しかし他の国内鉄道事業者と大きく異なるのは、文脈に含まれる地名が遥か遠くであること。うろな駅から大宮駅までは約1時間、終点の大前は広大な関東平野を抜け山岳地帯を進んだ果てにある地で、途中駅での待ち合わせ時間を含めば4時間ほどかかるだろうか。


『まもなく3番線に、横浜よこはま鎌倉かまくら方面、横須賀よこすか線直通、横須賀行きが11両編成で参ります。このあと小田原、熱海方面、東海道とうかいどう線直通、静岡行きをご利用のお客さまは4番線の乗車口でお待ちください』


 僕が乗ってきた電車が発車すると反対方面のホームのアナウンスが聞こえてきた。あちらも終点まで相当な時間を要する列車だ。うろな線は他線区との直通運転により、一本の列車の走行距離が300キロメートル前後になるものもある。その他、夜行列車は1000、貨物列車は2000キロメートルと、小さな島国の多くのエリアを網羅する、とにかく大規模な会社だ。


「おっ、鯨じゃん! 久しぶり! 元気してた?」


 会社の規模を実感しつつ人混みの中、改札口へ続く階段へ向かっていると、会社の制服、制帽を身に付け階段脇の監視台に立っている高校時代の同級生、久里浜さんに声を掛けられた。


「お、おはようございます」


 身をすぼめながら人混みを抜け、監視台の脇へと逸れた僕。「なにかしこまってるの?」と頭上に疑問符を浮かべるように返す久里浜さんだが、彼女の社会人として働く姿に距離感を覚え緊張した。その旨を話すと、「はははっ、身ぐるみ剥がせば高校のときよりちょっとナイスバディーになってるくらいだよ」と。大勢のお客さまが行き交う中で何を言っているのだ。


 久里浜さんの案内で、ホームの階段下にある駅事務室へ通された。うろな地下鉄うろな駅と比べ社員数が十倍ほど多く、総勢100名が在籍しているそうだ。顔を合わせた社員さんの一人ひとりに挨拶するも、数の多さにいつからか混乱して頭が熱くなり、意識が浮遊する感覚を味わった。


 事務室内の薄暗い階段を上がり、久里浜さんに重たい鋼鉄の扉を開けてもらうと、黒いソファーが対面でずらっと並び、これまた長く白いテーブルを挟んでいる。テレビや調理台などもある休憩室の一つで、二十名ほどは収容できそうだ。この駅には他にもいくつか小さな休憩スペースがあるそうだ。


「おうおうおういらしゃーい未来の仲間よ。私が駅長代理の小出一郎でーす」


 なんだろう。スペースの奥から赤いトランクスとランシャツ姿のオジサンが出て来た。ノリが軽くてちょっと怪しい。

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 都合により一時更新を見合わせました。失礼いたしました。

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