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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
新入社員研修

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89/120

研修終了!

「本日までの研修、お疲れさまでした。とはいっても部門によっては近いうちに再び研修となりますが、いよいよ現場配属となります。ぜひ怪我などないよう、安全第一で仕事に当たってください。それでは、これにて解散となります。お疲れさまでした」


 17時、支社ビル多目的室。汐入さんに続いて新入社員一同が「お疲れさまでした!」と声を上げると、ワイワイガヤガヤと各々が退散してゆく。ビルを出ると空はまだ青く、日が暮れるまではまだ時間がありそうだ。


 これといった溜まり場がないこの町。私、灯里、都の三人は、駅前のコンビニでサンドイッチを買い、ホームのベンチに座りながらそれを食べ、疲れ顔のオジサンたちを乗せて過ぎ去る列車をぼんやり見送っていた。


「なんかまだ実感湧かないなぁ。私たちが列車これを動かす一員で、たくさんの命を預かるなんて」


「そんなもんでしょ。まだ現場で働いてないし」


「というより、私たちまだ会社に1円も貢献してない?」


「灯里~、それは言わない約束だよ~」


 棒読み口調で注意する私に、灯里はクスクスと右手を口に当てて空を仰いだ。


 それからしばらく、三人は黙ったまま行き交う人々や列車をぼんやり眺め、何もしない時間が流れた。


「どうした美守。いつになく大人しいじゃん。生理痛?」


「ううん、ちょっと考え事してただけ。ていうか私より二人のほうが大人しいじゃん」


「私らはそれが普通。で、なに考えてたの?」


「それは、アレだよ。明日からみんな現場配属で滅多に会えなくなっちゃうじゃん」


「なぁに、意外と寂しがりなんだ」


「弱み握ったみたいに不敵な笑み浮かべんな」


「大丈夫だよ。私たちはレールで繋がってるよ」


「灯里は上手いこと言ったつもりだろうけど笑い堪えてるのバレバレだから」


「だって、美守が寂しがりなんて、なんかペットみたいに思えてヒヒヒヒヒ」


「都ちゃん、露骨に笑っちゃダメだよ」


「お前ら私が相手だと言いたい放題だな」


「またまた男口調で強がっちゃって~。でも、休みの日が重なったときにでも会えばいいじゃん。灯里とは駅同士だから車椅子案内とかで電話するだろうし、全検上がりの電車見たら私のこと思い出してよ」


「うん、わかった……」


「こらこら泣きながら鼻水出すな。私らが泣かせたみたいじゃん」


「だってそうじゃん」


 なんだかよくわかんないけど、なんだか前向きになれた。私たちの仕事は、ううん、きっと世の中の多くの仕事は、みんなの力が合わさってできている。


 そっか、そうなんだな。離れていても、みんな一緒だ。私もその仲間として、一生懸命がんばっていこう。


「よっしゃあああ!! 明日からがんばるぞおおお!!」


『業務放送業務放送、久里浜社員、ホームで発狂しないでください』


「ううう、制服着てないのに上司に注意された……」


「はははっ! 美守はうろな駅配属だもんねー!」


「美守ちゃん、ナイスだよ」


 小出のオヤジ、よくも笑い者にしてくれたな。パンツ一丁で駅長室の椅子にふんぞり返ってたのバラすぞ!

 お読みいただきありがとうございます!


 更新間隔が大きく開きまして申し訳ございません。


 次回から新章突入となります!

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