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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
咲月と鯨の恋愛編
79/120

面接試験

「失礼いたします!」


 面接試験。扉を開けて、大きな声で挨拶をする。昨夜から現在に至るまでの間、思いの外緊張せず、普段とほぼ同じく6時間ほど眠れた。この直前には学校で実施するようなごく一般的な健康診断を受診している。健康状態も審査対象となるのだ。


 二人いる30から40代くらいの男性面接官のうち、僕から見て右側の面接官にどうぞと促され、僕は学校名と自分の氏名を告げ、宜しくお願い致します! と頭を下げた。すると同じ面接官が物腰柔らかに、どうぞお掛けくださいと促したので、僕は再び、失礼いたしますと言って掛けた。もう一人の面接官はメモを取っている。


 着席するとさっそく志望動機や資本金等の企業情報を訊かれ、僕は暗記した通りに返答した。ここまでは特に躓かなかったけど、問題は次からだった。


「当社では、夢や目標を持った方々に入社していただきたいと考えておりますが、鵠沼さんには夢や目標はありますか?」


「はい! 運転士になりたいです!」


「運転士ですか。ではあなたが運転士になったとして、それが会社や社会に与えるメリットについてお聞かせください」


 ここで完全に行き詰まった。完全に予想外の質問だった。夢に向かって努力してきたこととか、過去について質問されると思っていたからだ。己の浅はかさに悔いながら、適当な言葉を模索する。


「はい、お客さまに運転士の存在を感じさせないくらい揺れが少なく乗り心地の良い運転をし、快適な移動空間を提供したいと考えております!」


 これが、その場で紡ぎ出せた精一杯の言葉だった。


「そうですか。しかしながらそれではなぜ当社を志望されたのでしょうか。運転士なら他社さんでもできますし、快適な移動空間の提供も当社のみでなく鉄道会社全社の使命です」


「はい、御社は幼い頃から馴染みがあり、そのうえ継続的に発展している会社でもあり、やりがいを感じながら働けると思ったためです」


「わかりました。では時間となりましたので、以上で面接を終了とさせていただきます。本日はお暑いなか起こしいただきありがとうございます。お気をつけてご帰宅なさってください」


「ありがとうございます! 失礼いたします!」


 はぁ、終わった。


 うろな駅で帰りの電車を待ちながら、久里浜さんと会話する。


「今日は圧迫面接だったわ〜。面接官の人たちニコニコしながらかなり掘ってきたよ〜。きのうなんか疲れて全身抜け毛が激しかった」


「うん。もう頭が詰まって大変だった」


 気重のまま、僕らは電車に乗り込んだ。


 これはもう、合格する気がしない。



 お読みいただき誠にありがとうございます!


 つい先日、私はうろな町企画発祥の地を訪れましたが、なんとなんと企画発足から一周年が経過しました! 町長さんほか皆さまおめでとうございます!


 本作は派手さはありませんが、引き続き町のなかの会社等での日常を描いてゆきたいと考えております。何卒宜しくお願いいたします!

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