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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
咲月と鯨の恋愛編
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どぎまぎクールダウン

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


 なんなんだ、なんなんだこの部活は!? この真夏日に直射日光にジリジリ照らされて江ノ島往復だと!? 往復何キロ思ってるんだ!? 14キロ以上だぞ! 顧問は何を考えてるんだ!? 貴方の学生時代とは気温が全然違うんだよ! つい5年くらい前までは30℃超えるなんて年に数回しかなかったけど今や当たり前だ。温暖化が進んでるんだよ温暖化がっ! 時代の変化に対応できない腐った脳ミソめ! 21世紀という昭和の産業がもたらした猛暑の時代にこんなハードなメニューは死者が出るぞ! っていうか僕が死ぬぞ! このブラック部活め! こんなに人を苦しめて何が楽しいんだ!? 今日のところも無事にゴールできたけど、もう歩きたくない。今にも砂浜に崩れ落ちそうだ。


 江ノ島往復ジョグを終えた鯨と咲月は通行人の邪魔にならないゴール地点の脇に広がる雑草の生い茂る砂浜に退避して息を整えていた。


「おつかれ鯨! シャワー浴びて帰ろう!」


「えっ、あ、はい……」


 脳内と表向きの態度に大きな差がある鯨。


 あぁ、もうちょっと休みたい。でもあまり休むと一気に筋肉が冷えて乳酸が溜まり、翌日以降激しい疲労感に見舞われる。なのでやむ無く学校まで軽く走り、火照った身体を徐々に冷やす。


 学校に戻ったらいつものようにシャワーを浴びて、制服に着替え帰宅するのだが。


「くーじらーあ!」


「わっ!?」


 更衣室を出て廊下の窓から中庭を眺めていると、背後から片瀬さんが急に抱き付いてきた。びっくりすると同時に胸の感触と鼻孔をくすぐるシャンプーの香り漂うさらさらした髪が僕の心臓をどぎまぎさせる。なのにそれはとても安心感があって、つい表情がほころんでしまう。こんな恥ずかしい顔、片瀬さんには見られたくないな。


「ねぇ鯨、この後ヒマある?」


「あ、はい」


 鉄道についての情報収集をしたいけど。


「良かった! 私もさ、今日はかなり疲れちゃったからマッサージしてほしくて」


「あぁ、はい。でも、やり方が」


 マッサージは運動後のクールダウンとして一般的で、本来毎回したほうが良いらしいけど、この部にはそんな習慣はない。


「私の言う通りにしてくれればいいから、ね?」


「はぁ」


 ということで、これから片瀬さんのお家にお邪魔してマッサージをすることになった。

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