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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
咲月と鯨の恋愛編
64/120

灼熱のなか、二人きり

 うぐぁーっ! ぐがあーっ! なんだこのアップダウンは!? 死ぬ! 本当に死ぬ! 周囲の森から聞こえるシネシネシネシネー! と鳴くクマゼミが追い撃ちをかける。なんなんだこの鳴き声は! 嫌がらせか!?


 日曜日、僕と片瀬さんは駅から山へ向かうバスに乗って、森に囲まれた開けた公園でジョグをしていた。公園には長いローラー滑り台や広場、谷戸と呼ばれる池や森林で形成される湿地があり、手軽に自然と触れ合えるスポットとして人気だ。だが散策路は舗装されていないところやアップダウンが激しいところもあり、ランニングコースとしては海辺のサイクリングロードより遥かにハードだ。


 メンチカツを頬張りながらの帰り道で誘われたときは、スポーツショップで買い物をするのかと思っていたけど、いざ当日駅前で落ち合うと何故かジャージ姿の片瀬さんが待っていた。僕は買い物のつもりで外出したのでジーパンと白いTシャツ。イヤな予感がした。片瀬さんの赤いジャージは灼熱のなか快走しようと言わんばかりのオーラを物凄く判りやすく発していた。だが僕はこのまま身を‘回送’して帰りたいとは言えず、片瀬さんに連れられるままここまで来てしまった。駅から乗ったバスの扉が閉まった時は、まるで監獄に閉じ込められた罪なき囚人のようだった。


 僕の貴重な休日は、灼熱地獄のトレーニングに消えてしまった。


 でも今日は片瀬さん以外の部員が居ないので精神的にはとてもラクだし、むしろ少し楽しい。この時間が過ぎてしまうのが、少し惜しい気もするのだ。

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