おはようのうろな駅
「おはようございます。うろな~うろなに到着です」
7時12分、成夢が乗った電車はうろな駅に定刻通り到着した。降り立ったホームには助役の一郎が立っているが、満員電車の乗客が半分ほど降りるため、人混みを掻き分けて挨拶するのは非常に困難な上、周囲の迷惑でもあり、一郎も目が合えば手をひらひら振るが、意図的に成夢を見付け出すのは困難だ。なので後で会ったら挨拶をするのがラッシュアワーの慣例だ。
成夢は階段を下って改札口の前で人混みから抜け出し、通路左端へ逸れた。そのまま有人改札前の通用扉を明けて中へ入る。
「おはようございまーす!」
一般的に『まーす』のような伸び口調はタブーであるが、駅の仲間同士では気にしない。
「おはよう! 今日はよろしくね!」
ちょうど扉を開けたところに通りかかったのは、勤務開始1時間15分前にも拘わらず、もう制服に身を包んでいるエレナだった。今日の8時30分から明日の同時刻までの徹夜勤務はエレナとともに仕事をする。
「おはようございます! こちらこそ、よろしくお願いします!」
よろしくお願いします! のところで成夢は僅かに頭を下げた。
「ふふっ、がんばろう♪」
言って、エレナは成夢の頭をポンポンと軽く撫でた。成夢の表情筋はつい緩んで、恥ずかしい気分になった。
一方の有人改札では、洋忠があくせくしながら旅客対応に追われていた。それでもこちらに汗々したウィンクをしてきたので、成夢は笑顔をつくって会釈した。
これが出勤時の日常光景である。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
駅は町の玄関口!
ということで、しばらくは更新ペースを早めて皆さまに鉄道施設を知っていただこうかと存じます!