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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
駅係員たちの日常編
56/120

王子様が現れたようだ

 俺と一流ちゃんの間に背後から割って入ってきたのは人事部の片瀬咲月さん。入社試験の際に俺を採用してくれた人で、会うのは夏の研修以来だ。


「お疲れさまです!」


「大辻くんもお疲れさま! スピーチ良かったよ!」


「ありがとうございます! 片瀬さん、一段と綺麗になりました?」


「ふふふ、わかる? なんで綺麗になったか聞きたい?」


「ははは、聞かなくていいです」


「減給するよ? 残業代払わないよ?」


「ひでぇパワハラだな」


「で、聞きたい?」


「聞きたいです」


「片瀬さん、この話すると長いわよ?」


「一流ちゃんは聞いてるんだ」


「よく一緒にお食事するもの」


「へぇ、確かになんとなくいいコンビかもな」


「あらあら大辻くんに一流ちゃあん、仲睦まじげですなぁ」


「俺たち高校時代に付き合ってて、今日約6年半ぶりの再会を果たしたんです。まさか一流ちゃんが同じ会社に勤めてるなんて思いもしませんでした」


「わお、そういうのってあるんだね。実は実はね、私は好きな男の子兼元カレを追いかけて入社したんだけど……」


「ストーカーはイカンですよ」


「違うわっ! こんなでもちゃんと自分の将来設計とか会社研究したんだから! それに何も考えないで彼だけ追いかけて入社したところで新しい彼女がいたらお仕舞いじゃんか。でも復縁できたから結果オーライ! 二人の愛を乗せた列車はまもなく終点に到着よ! 振り返ればシベリア横断鉄道より長い旅だった」


「おお、確かに話すと長くなりそうだ」


「聞きたい?」


「うーん、聞かなくていいかな」


「ボーナスカットするよ?」


「聞きます」


 パワハラ発言とは裏腹に目をキラキラさせて頬が弛みにんまりしている片瀬さんの話を、俺は聞かないわけにはいかなかった。一流ちゃんとの募る話もあるけど、ここは片瀬さんに付き合うとするか。


 このとき俺は思った。夏の研修で片瀬さんは王子様が現れないと言っていたけど、同じ会社に王子様がいるなら社員名簿でどの区所に在籍しているかすぐにわかる。しかも人事部だから支社管内各所に属する社員の勤務状況だって把握しているはずだ。だけど彼女は無理に彼と接触しなかったのだろう。そこにはあるのは新しいパートナーがいるかもという彼女の恐れか、仕事と私情を混同しないという理由か。はたまたそれ以外の何かか。ちょっと気になってきた。

 ご覧いただき誠にありがとうございます!


 人事部の咲月、サブキャラにしてラブストーリー突入!

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