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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
駅係員たちの日常編
55/120

成夢の将来展望

 引き続き懐かしい高校時代を思い出しながら談笑する成夢と一流。二人が別れてから再会した今日こんにちまで6年以上の月日が流れ、互いに変わったところ、変わらないところを言葉の選び方や雰囲気から感じていた。


「成夢は今後どうしたいの? とりあえず車掌と運転士を目指すのかしら?」


「乗務員はどうしようかなって感じ。そもそも乗務員ってさ、うちの会社の場合は管理職とか企画部門に行くまでのプロセスで、運転関係の現場管理者になるなら必須だと思うし、人として成熟して将来展望を見出だすための一種のモラトリアムでもあるんだろうけど、俺の場合はその将来展望ってヤツが既に少しずつ見えてきてるし、ならそっちに飛んじゃうのもアリかなって」


「将来展望って?」


「鉄道ってインフラだからさ、多くの人が利用するよね。だからこそ、多くの人にイイ影響を与える仕事がしたいなって。人だけじゃなくて、動植物とか地球環境とか、世界に影響を与えたいって。ちょっと具体性に欠くけど、俺がやりたいのはその目的を達成するための一切っていうのが今の考え」


 へぇ、と口を軽く押さえて微笑む一流。


「やっぱズレてんのかな~」


「そんなことない。寧ろ高校時代の成夢と比べると著しい成長が見られてとても嬉しいわ。それに、鉄道はインフラだからこそ慢心しやすい業種でもあるから、会社はあなたみたいな人を強く欲しているの」


「そんなに成長した? たぶん今でも相変わらず膝枕されたらニヤけるの抑えらんないぜ?」


「ふふふっ、それはそうかもね。でも、スピーチの時の受け答えから将来展望まで、昔の投げやりな成夢からは想像つかないもの」


「あん時は親のプレッシャーとか学校の人間関係に苛まれて疲れきってたから、思考能力が麻痺してたんだと思う。一流ちゃんは前よりちょっと柔らかくなった?」


「そうかしら」


「昔は完璧主義でよく周囲を説教したり、上手く言えないけど荘厳っていうか、周りを寄せ付けない感じがした。俺はそんなことなかったから付き合えたけど」


「だって、あなたは私の本質を見抜いていたもの」


 スーパーで売れ残った食品を有効活用する意図とか?


「俺は説教してる一流ちゃんが怖くなかったんだよ。それに、ちゃんと向き合えば話し合える人だって気付いた人は俺だけじゃなかったよね。今そいつらとSNSでやり取りしてて、医学を勉強するために世界を旅したり、モデルやってたり、奇抜な世界に飛び込んで人生充実してるっぽいよ。俺だけ単なる会社員だけど、このご時世で正社員として働けてるってのは恵まれてるのかもしんないな。自分で言うのもおかしいけど、本質を見抜ける人が一流ちゃんと付き合えるんだろうって。バイトしてたスーパーで食品を無駄にしないために懸命だった姿を見て思ったんだけど、一流ちゃんは俺たちに勉強だけじゃなくて、人として大切なことを教えてくれた。そういう人と、最低でもビジネスパートナーとして付き合えるのは凄く光栄だし、俺自身も一流ちゃんには及ばないかもしんないけど、人間力を高めていきたい」


「よく言った若人わこうど!」


 おや、この姉御っぽい声は…。

 ご覧いただき誠にありがとうございます!


 鉄分の少ない鉄道会社のお話、鉄道ファンの方には物足りないのかな~と思うこの頃。


 鉄分については鉄道に詳しくない方でも楽しめるように考慮しつつ、いくらかネタをご用意しております。

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