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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
駅係員たちの日常編
38/120

鉄道ライフ

「5番線ドア閉まります。いってらっしゃいませ。まもなく6番線は桃源郷行きが4つドア15両編成で到着いたします。黄色い線の内側へお下がりください」


 8月21日、水曜日の8時過ぎ。成夢はうろな本線上りホーム定位5番線の5号車付近にある監視台に立ち、ラッシュアワーの安全安定輸送を守っていた。


「今度の5番線、桃源郷行きも4つドア15両編成で到着いたします」


 朝のラッシュアワーは約3分間隔で運行される列車を効率良くさばくためにホームをフル活用。7月のダイヤ改正から4ドアの新型車両や15両編成の列車の運行が始まり混雑が緩和されたため、人の流れがスムースになり、駅係員の仕事も若干ではあるが楽になりつつあった。


 しかし人口が増えつつあるこの地域で、この効果をいつまで維持できるかは不明である。また、15両編成の旧型車両は電力消費が多いため、支社の運用担当がお客さまの快適性より会社の経済性を優先させ、従来の10両編成へ縮小する可能性もある。そのような会社になったら株主からは好かれてもお客さまから嫌われるのは確実。なお、新型車両の15両編成は旧型車両の10両編成より少ない電力で走行可能なため、車両工場では1日1両の急ピッチで車両を製作している。


『6番線、発車いたしーますっ。電車続いてーまいりーますっ』


 6番線の監視台は一郎が担当。8時頃の一郎といえば、飲み屋が開いていないためパチンコ屋へ行こうか中央公園で缶ビール片手にぼんやりしようか悩んでいる頃だ。


「5番線電車到着いたします。黄色い線の内側へお下がりください。次の6番線は3つドア15両編成で到着いたします」


 似通った内容の放送を繰り返す成夢と一郎。成夢はルーチンワークのなかで思っていた。


 この町には今日も新しい仲間が加わるのだろうか。人口が増えると空間が狭くなり、治安が悪化しやすくなる。町の環境については有能な町長に任せるとして、鉄道会社から住み良い環境を創り出し、この良い町を都会のように荒廃させてはならない。昔からの住民も、新しい仲間も心穏やかに暮らせる町にしたい。会社が進めている新型車両の導入やうろな本線の15両編成化はコストをかけてでも心穏やかに暮らせる町づくりのための取り組みなのだ。


 世の中に革命を起こしたいと思って入ったこの会社で、俺にできることはなんだろう。鉄道会社でありながら出版事業があったり劇団があったりと無限の可能性があるこの会社でなら、きっと何かできることがある筈だ。


「発車いたします。いってらっしゃいませ」


 とりあえず今は、電車を安全に走らせて、人々の命を預かり心を運ぼう。それが今の俺にできることだ。


 新人駅係員、成夢の鉄道ライフはまだまだこれからだ。



 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 今回都合により急遽8月21日のお話をご用意いたしました。成夢の心理描写は鉄道会社に入る最低限の心得というところです。と、他社での非正規雇用を含めても鉄道歴たった約7年が偉そうに語りましたw

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