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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
駅係員たちの日常編
35/120

稀にある、こんなこと

 7月31日、カンカン照りの14時過ぎ。海浜公園駅から車内に忘れものをした旅客が居るという連絡を受けた成夢は、うろな本線下り4番線で当該列車を待っていた。


 まもなく到着したのはステンレス製の旧型車両、10両編成。ロングシート車のため車内を見渡しやすく、忘れものを捜索しやすい。


「業務放送、10号車遺失物捜索入ります」


『業務放送、遺失物捜索承知』


 成夢が構内放送で捜索の旨を伝え、車掌が車内放送でそれに応えると、成夢は車内に入り、座席や荷棚、床面を満遍なく見渡す。旅客はげんなりした白いワイシャツ姿の中年男性一人のみで、一層見渡しやすい。


 遺失物はすぐに見つかった。荷棚の上に黒い革製のビジネスバッグがポツリ。


 座ってるなら荷棚に置くなよ。そこは座席の正面に立つ人のスペースだろ。ドアの脇に立つ人が荷棚を使うのもマナー違反だよな。まあいてるからいいけど、管理くらいしっかりしろや。


 そう思いながら成夢はバッグを持ち、車外へ出ようとたった一人の旅客に会釈をしようとしたが…。


 あれ? 誰も居ない。


「業務放送、遺失物捜索終了」


『捜索終了承知』


 成夢は放送をしながらホームを見渡すが、老人が三名ほど歩いているのみである。


「あの、10号車、一人だけお客さま乗ってせんでした?」


 目の前、最後部の乗務員室から顔だけ出す40代くらいの男性車掌に思わず訊ねる成夢。


「え? 10号車は海浜公園から誰も乗ってないよ? あ、そういうことか。たまにあるんだよねー」


「え?」


 成夢はポカンとしながら電車を見送り、事務室へ戻って10号車付近の監視カメラの画像をチェックしたが、自分と車掌、そして先ほど見掛けた三人の老人以外は誰も映っていなかった。

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 今回はホラーをお送りいたしましたひゅーどろどろベロベロバー。

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