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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
ブライダルトレイン

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116/120

車内チャイム『主よ、人の望みの喜びよ』

 とりあえず、ほぼ定刻通りに発車。


 乗務員室でひとり、ほっと胸を撫で下ろす咲月。先頭の運転台では、普段通らないポイントをいくつも渡る電車を慎重に操作している。


 そのころ、客室では。


 デッキできょろきょろする清水さま。どうも状況が呑み込めていないよう。


「清水さま、ここはひとまず、お席におかけください」


「あ、はい。……すいません、いまいち状況を把握しきれていないのですが」


 私が促すと、清水さまはそわそわしつつ近くの席に腰を下ろした。


「大変失礼いたしました。私、このブライダルトレインのご案内をさせていただきます、日本総合鉄道の深沢一流と申します。もうまもなく、車掌より案内放送をいれさせていただきます」


「ど、どうもご丁寧に。お願いします」


 ポイントを渡りながらゆっくり走る電車。清水さまが腰を下ろしたところでオルゴール調の車内チャイム、バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』が流れた。それから、片瀬さんによる肉声放送が入った。


「ご乗車、ありがとうございます。清水さま、ご結婚、おめでとうございます。この晴れやかな舞台に、当社の列車をお選びいただきましたこと、大変光栄に存じます。本日は社員一同、最高に幸せなひとときのお手伝いをさせていただく所存でございます。担当いたしますのは車掌片瀬、運転士鵠沼、営業深沢でございます。どうぞよろしくお願いいたします」


 と、片瀬さんは言ったものの、実は新婦さまは何者かに連れ去られ、このブライダルトレインは『花嫁奪還作戦』の一部になっている。まるで映画のワンシーンみたい。


 ポイントを渡り終えた電車はうろな沢を目指し一気に加速。さて、これからどうなるのかしら。

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