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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
専門学校、職場体験編

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僕たちもう、別れませんか

 帰りの列車は希望通り、湘南新宿ラインのグリーン車2階に乗った。グリーン料金は咲月さんのぶんも僕が負担。合計1100円の出費は痛かったが、それでも僕は、グリーン車に乗りたかった。乗り鉄というやつだ。


 ちなみに、東京始発の東海道線でなく北関東の路線と湘南の路線を新宿経由で直通運転する湘南新宿ラインに乗りたかったのは、全列車が新型車両で運転されているから。


 東海道線の旧型車両も良いけれど、今回は新型に乗りたい気分だった。


 車内は静かで、グリーン車だから音をたてたり喋るのもあまり好ましくない。そんな理由を心の中でこじつけて、ほとんど会話のないまま30分が過ぎ、茅ヶ崎駅に到着した。


 僕と咲月さんは近所に住んでいるので、駅から歩く方向が同じ。ところどころイルミネーションで装飾した住宅のある静かな裏道を、二人並んで端に寄って歩く。


 咲月さん、もうちょっと速く歩いてくれないかな。


 家まで僕の歩行速度で20分。咲月さんも普段は速く歩くのに、歩き疲れたのかきょうはやけにゆっくりだ。


 本当はバスで帰りたかったが、駅舎を出ると咲月さんはバス乗り場ではなく当たり前のように裏道へ向かったので、それに流された。


 バスで帰れば15分間を受験対策に費やせたのに。


 今後もこういったことが度々続くと思うと、心底気が重い。


「僕たちもう、別れませんか」


 プツリと糸が切れ、口を突いて出た言葉。


 いまの僕は冷静ではない。それは理解している。胸が詰まって、頭が重い。


 だからこれが冷静で合理的な判断の下に出た言葉ではないと、自覚している。


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