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うろな駅係員の先の見えない日常  作者: おじぃ
専門学校、職場体験編
100/120

無感動

 クレープを食べ終えて腹が満たされると、少しの気持ちが落ち着いてきた。店を出た僕らは長谷寺で紅葉を楽しみ、崖の上から見慣れた相模湾を見下ろした。眼下には無数の住宅が密集していて、人口の多さを実感する。


「きれいだね~、海」


「う、うん……」


「どうした?」


「いや、なんでも」


 海がきれい、か。


 見慣れた海をそう思えるなんて、不思議だ。いや、きっと僕の感性が鈍いのだと思う。


 きっと僕は何かが欠落している。オタクとかマニアに分類される典型的なタイプなのだと思う。


 僕には一体、何が足りないのだろうか。


 鎌倉という歴史的観光名所。この地に感動する人が多いからこそ、平日休日問わず賑わっているのだろうけれど、僕の関心の先は交通や市内の人口くらい。湘南という地にはとても合わない人物だと思う。


 結局この日、僕は咲月さんの行きたいところに付き合って、特になんの感動も得られず一日を終えてしまった。


「ごめん、私ばっかり楽しんでたみたいだね」


「え?」


 茅ヶ崎駅の南口まで戻ったとき、咲月さんに謝られた。


「いや、僕のほうこそ至らずで」


「もしかして、何か悩み事?」


 やはり咲月さんは勘が鋭い。けれど、


「悩みというか、何を悩むべきかよくわからないというか、僕は人間らしくないのかなって」


「人間らしくない?」


「自分に関心のあるもの以外の良さがわからないっていうか。人間として何か欠落してるって、鎌倉に行ってそんなことばかり考えてた」


「そっか、だからつまらなかったし、それに悩んで元気がなかったんだ」


「ごめんなさい」


「ううん、話してくれてありがとう。ついでにちょっと、お話ししようか」

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 更新遅く大変恐縮です。


 のらりくらりと今回で第100話を迎えました。うろな町企画という複数の作家が入り乱れる企画の思いもよらぬ展開に戸惑いつつ、どうにかここまでやってこられました。


 今後ともお付き合いいただければ幸いです。

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