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第2話『国民の命か税金か。命への出資は金貨より重たい』

「隊長!敵の練度は想定以上です!すぐに撤退を!」

「ならん!ここで撤退すれば人質にされてる各国高官の命が無い!それにお前負傷してるだろ?」

俺は自分の右下腹部から出血してるのが見えた。

「大丈夫です!まだ戦えます!私が時間を稼ぎます!その隙に敵への精密射撃を!」

激しい銃声が鳴る中で無線からは次々とSATと銃器対策部隊のダメージレポートが司令部に送られている。

「吉永!お前は上司の命令が聞けないのか!?すぐにお前だけ撤退しろ!お前は戦力外だ!」

「ですが……!」

「これ以上は抗命行為と見なすぞ!」

隊長のドスの効いた声で俺は撤退した。それから数分後。ビルは爆破され、俺の所属していた警視庁SAT第三小隊は生存者3名というあまりにも悲しい結末を迎えた。

「はっ!……夢か……」

月明かりが静かに個室を照らし、時計を見ると午前3時だった。

エナジーバーを2本かじった後にガンロッカーから拳銃を取り出す。もちろん、これは弾薬から銃まで全て記録されるので変なことはできない。無論変なことをする気もない。ただの拳銃訓練だ。

地下の射撃場にエレベーターで着くと、第三小隊の生き残りの1人、村正がいた。

パンッ!パンッ!と豊和10mm拳銃を使いこなしている。

「お前も眠れなかったのか?」

「隊長、えぇ……あの事件を思い出してしまって……」

彼も同じ傷を負った中だ。身体だけでなく、心にも。

「早撃ち勝負しないか?負けたらコーヒー奢りで」

「いいですよ、警視庁の拳銃射撃グラウンドマスター同士でやり合いましょう」

名古屋国家首脳会議爆破事件後に警察庁は、拳銃、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフルの科目で射撃種目を設けて、階級付けをした。その中のトップがグラウンドマスター。拳銃部門では俺と村正の2人だけだ。

拳銃をホルスターにしまい、合図が鳴るのを待つ。標的までは25m、拳銃射撃において10mを正確に当てれば凄い、20m超えはプロ以上。中には瞬間的に50m先を当てれる人も居るらしいが例外みたいなものだろう。

ピィー!!

合図がなると同時に弾倉に込められた10発を3秒間の間に速射する。

パァン!パァン!と激しい破裂音と共に再び合図が鳴る。

2点差で俺が勝ち、まだまだだな。と村正に言う。

「隊長、俺の負けだ……約束通りコーヒー奢りますよ」

「あぁ、今なら公安専用の喫茶店もやってるはずだしな」

公安部はとにかく残業と監視対象や情報屋として雇ってる人間の報告がひっきりなしに来るため24時間営業の喫茶店がある。

そのままツナギを来ながら弾倉は抜いて、拳銃をホルスターにしまって、俺は村正のどんなコーヒーでもいいですよと言うのでLLサイズのカフェモカアイスクリームトッピングコーヒー、およそ2100円を頼み、席に座る。

「隊長って遠慮って言葉知らないんですか?」

「お前がどんなものでもって言うからな。伝え方に気をつけろよ」

「はぁ……ん?ちょっと静かにしてください……」

彼は非常に耳が利く。あの事件でも生き残れた要因の1つに銃声の中で彼が自爆の命令を敵が出したを事を聞き逃さなかったため、生き残ることが出来た。つまり、何かあるということで視線を向けると公安部の公安機動捜査隊のメンバー2名が雑談……という雰囲気とは思えない重々しい会話をしてる表情をしていた。

村正が素早く内容を俺のスマホに送り、確認する。

『財務省がHWSATを解体させ、公安機動捜査隊武装課を作ろうとしているらしい』と俺はアイスコーヒーをむせてしまった。

するとお隣さんも気がついたようだ。

「あんたら、HWSATの人間か。聴いてたのかよ……今日の午前10時に財務省のお偉いさんが来るからあんたらも参加させるはずだ。用心しとけよ」

それだけ言って、2人は去ってしまう。

「なぁ、村正……」

「えぇ、分かってます。断固として拒絶させましょう」

その後、コーヒーを飲み終えた後、俺はパソコンでHWSATの重要性に関する資料を作り、終わったのが午前9時半、すぐに警視庁の会議室に向かい、事務員さんにお急ぎでコピーしてもらい、机に配布する。

そのまま重役出勤の財務省のお偉方が挨拶もせずに席に座り、黒道理事官と俺達HWSAT第1小隊と会議を始める。その前にお偉方は資料に目を通すが途中で投げ捨て、コーヒーを飲む。俺が一生懸命作った資料を……

「えぇ、まずはHWSATの存続に関してですが……」

黒道理事官の言葉を待たずに財務省の恐らく課長級が言葉を挟む。

「もう日本で国際会議なんてないんですから必要ない。以上、反論があればどうぞ」

俺は怒りを抑えながらこの重たい空気に殴り掛かる。

「我々は国際的な高官だけでなく、民間人もテロから守る必要があるのは明々白々。公安機動捜査隊に武装課を作る話はキャッチ済みです。彼らは初動捜査や鑑識が専門である以上、対テロ戦闘に有利に立てるとは思えませんけどね」

財務省の官僚たちはため息を混じらせながら答える。

「あのねぇ、国民10人の命とこの部隊の年間維持費は釣り合わないんですよ。維持費がデカすぎる。存続させる価値もない」

官僚達はクスクス笑っているが黒道理事官は最後に一つだけと答える。

「それを本気で仰ってますか?」

「えぇ、もちろん。我々財務省の本意です」

黒道理事官はピッという音を鳴らすと録音機を取り出す。

「ただいまの発言は録音させていただきました。これをマスコミと国会に提出します。そしてあなた方が財務省の本意というのであれば、財務省は国民を見捨てた事になります」

官僚達は慌てはじめ、言葉にならない発音を口にする。

「ま、まま待ってくれ。冷静に行こうじゃないか。我々はあくまでも例えとして……」

「財務省の本意は例えとして国民10人の命を捨てると?それが100人でも1000人でも?」

官僚達は最早逃げ場はない。存続を認めるか、財務省が存続の危機になるか。

「わ、分かりました……存続は認めます。ただ経費節約くらいはしてください」

ドン!と机を叩き、無作法に扉を開けて退出する。

「黒道理事官殿……」

「私は君達のことを正義だと思っている。それだけの事だ。経費も節約しなくて構わない、無駄遣いではなく、正義のための出資だ」

そう言うと黒道理事官も退出し、我々第1小隊は喜びながら小隊ミーティングルームへ向かい、今度の訓練を話し合う。

「次の訓練計画だが……気負わないで聞いて欲しい。大規模テロ犯の護衛兼奪還勢力の排除だ」

その言葉が出た時には小隊員たちは口を開けたまま、呆気にとられていた。俺もこの書類を黒道理事官に渡された時はビックリした。どうやら名古屋国家首脳会議爆破事件の主犯の1人を見つけたらしく、日本国内での移動の際に我々第1小隊を含む4個小隊での護衛だと言うことだ。事故として射殺したいくらいだが、そんなわけにもいかないのが我々公安警備課の使命。私刑など許されないのだ。

どうも第2話目です!4話まで作ってあるので今日は4話分どっさり置いていこうと思います。第1話の前書きにもお伝えしましたが当作品は作者の気分転換に書いてるので未完になったり、不定期投稿になります事をご容赦ください。それではすぐに続きを投稿していきます!

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