第1話『日本国警察機関の持つ最後の砦』
本作品は作者の気分転換に書いている作品ですので長く続くかは分からず、投稿も不定期になります事をご容赦ください
この部隊が発足されて何年経っただろうか。名古屋国家首脳会議中に重武装のテロ部隊が侵入、銃器対策部隊とSATが突入したが返り討ちにされ、俺の同期や上司も死んだ。その後特殊作戦群による突入が試みられたが元々自爆予定だったのか、ビルごと自爆し、日本の対テロ能力は失墜した。そこで俺達旧SATの中でもアサルトライフルを持つ部隊は警視庁公安部に招集され、出来たばかりの公安学校で対テロ戦術及びテロ防衛の訓練を重ね、警視庁公安警備課重武装突撃隊、通称HWSATが設立された。
「いいか、下車後に速やかにバタフライ状に展開し、建物内に突入。ターゲットは全員射殺し、人質は無傷で回収。以上だ」
我々のリーダー黒道理事官はそれだけを告げて帰っていく。
「なぁなぁ、吉永よぉ。俺アサルトライフルにまだ慣れてないんだけど」
そう、俺の名は吉永。元SATの警部補だった。今では公安部所属ということで係長を務め、この部隊をまとめている。
「川上、我々は時にして急を要する任務や使い慣れてない装備を緊急で使わざるを得ない場合がある。その時人質を救えるのは我々だけだ。実戦だと思えばお前ならできるさ」
川上は不満げに缶コーヒーを買って、車両に飲み込む。規則上は任務前は飲食は必要最低限だが、今の彼にはちょうどいいだろう。
「んで、隊長。今回の敵と人質の数は?」
副隊長村正の質問が投げかけられる。
「不明だ」
「全く、俺達の任務はいっつもこれだな」
彼は癖でタバコを吸おうとするが俺が制止させ、彼も気づく。
「悪ぃ。匂いで気付かれたら最悪だもんな」
「なんだ、分かってるじゃないか。俺もお前も同期を失った以上、もう仲間と人質は死なせない……だろ?」
彼は頷き、武器の再点検を行う。
我々が使う銃器は突入要員2名が10mmオート弾を使用する特殊サブマシンガン。通常の9mmパラベラム弾や45口径弾よりもマンストッピングパワーも貫徹力も高い。これはあの事件以来、SAT隊員数名がテロリストに命中させたが当時主力だった9mm弾では敵を抑えきれなかった反省からだ。そして突入支援要員3名、俺と村正、川上はHK416D HWSATモデルという5.56mm増薬NATO弾を使用する。さらに銃口にはオスプレイタイプの四角いサイレンサーが取り付けられており、はっきり言って陸上自衛隊の特殊作戦群、海上自衛隊の特殊警備隊にも引けを取らない最精鋭対テロ部隊が完成した。
「これも全てあの事件以来か……」
俺がボヤくと、ドライバーの竹中が声をかける。この隊唯一の女性だ。
「もうすぐ、訓練……じゃなかった。下車エリアに着きます。行動内容は覚えてますね?」
俺達は息を合わせて、当然だ。と答える。
「竹中係員。建物に対して、このドアを向かい合うように停めて欲しい」
「え、ですがそうすると敵の総攻撃に合う可能性が……」
「俺達の使うHK416Dは射程も貫徹力も高い。その上オスプレイタイプの中でも異常と言っても過言では無いほど消音効果。時間はテロリストの味方である以上迅速な展開が求められる」
「分かりました。流石ですね、隊長」
俺はサムズアップだけして、下車の準備に入る。
全員が腕時計を合わせ、カウントする。
「5、4、3、2、1……Go!」
ドアが開くと同時に光学照準器の倍率装置で速やかに窓から顔を出している犯人の顔を撃ち抜く。的とは言え、中々に憎々しい顔だ。
パシュン!パシュン!という銃声にしては不気味なほど静かな銃声が何発か鳴り響き、硝煙の匂いと共にドアの前の横に配置する。
村正が突入要員のポーチから特殊音響閃光弾を取り出して、投げ込むと同時に突入。
SATには無かった軍用レベルのヘッドセットのおかげで音も気にならず、瞬時に目を瞑るだけで光の影響も抑えられる。
突入してすぐの左右のドアに突入要員が1名ずつ待機し、そこに突入支援要員が1名ずつ、俺は建物の奥を警戒すると、各自が同時に再び特殊音響閃光弾を投げ込み、激しい銃声が鳴り響く。
「Aルームクリア!人質1名確保!」
「Bルームクリア!人質無し!犯人2名射殺!」
突入要員、通称ポイントマンの報告を聞いた後に隊長として指示を下す。
「速やかに2階を制圧せよ」
無線越しから了解。という声が聞こえる時にはもう彼らは一矢乱れぬ動きで、2階を捜索する。しかし訓練教官のイタズラか灯りがない。さらに今回はナイトビジョンシステムも無し。
全く厄介だな。
「総員、フラッシュライトは使うな。視覚以外の全てを頼りに制圧せよ」
川上の「んな無茶な」……という心の声が吐露しながら進んでいく。
ここからは相手が見えない攻略タワーディフェンスアタックだ。慎重に動き、テロリストの的を視覚以外の全てで捜索する。ただ、レーザーサイトのみは扱える。変に反射した瞬間にそれが人質なのか、敵なのか判断出来れば問題はない。
「この階は会議室だけのようです」
ポイントマンの報告を受け、俺は指示を下す、それもとびっきり難易度の高い指示だ。
「特殊音響低閃光弾を使用し、1秒で制圧する。失敗したら俺も含めてグラウンド20周だ」
隊員たちにめんどくさいという緊迫感が走る。
特殊音響低閃光弾はこういう時のための非常手段だ。音で相手を混乱させつつナイトビジョンが使えないなどの場合に僅かな間だけ辺りを照らす。
ドアの前に配置すると同時に俺が2発投げ込む。
僅かに、「見えたっ!会議室の奥に2名の犯人と人質が……4名まとめられている!?」
心の中で状況を瞬間的に分析し動く。
混乱する間もなく、素早く正義の執行という名の弾丸を食らわせ、計20発の大盤振る舞いの弾を当てる。全弾が致命傷部位に当たり、人質の元に駆け寄ると爆弾が仕掛けれていた。
あの事件を思い出すな……
「村正、お前ならできるな?」
「問題ありません」
彼はポーチからツールバックを取り出して、爆弾のケースを解体し、安全に順序よく、そして速やかに無力化する。
その時だった、灯りが着いて、黒道理事官による状況終了が伝えられる。
俺達は冷や汗をかきながら、車両に戻り、警視庁の地下司令部に向かい、シャワーを浴びる。
俺達の汗一滴は人質の血一滴と言っても過言では無い。そう教えてくれたのはあの事件で亡くなった俺の上司、御川警部だ。なんであの方が死ななくちゃいけなかったんだ……心の中で悔やみながら、寝床に着く。
こんばんは!黒井冥斗です!まずはお手に取っていただきありがとうございます!久しぶりの投稿になってしまい申し訳ないです。ネット小説大賞に出す予定の作品が右往左往してしまい、年末年始も執筆しておりました。ネット小説大賞に出す作品も来月中頃には完成させる予定なのでご興味がごさいましたら、そちらもよろしくお願いします!




