スポーツとゲームの花
本日二話目です。
もう一話投稿してあります。
彼はスポーツやゲームに夢中だ。
私のことなんて放ったらかし。
いい加減愛想も尽きそうだ。
ルールを覚えて一緒にやったり観たりすればいいと友人たちは言う。
だけど事はそう簡単なことではない。
彼のスポーツやゲームに対する姿勢は本気だ。
玄人裸足だと言っていい。
はっきり言ってしまえば素人に出る幕はないのだ。
彼だって私が関わろうとすると嫌な顔をする。
一回だけ、私もやってみようと思ったことはあったのだ。
だけど、そう告げた時のしかめられた顔が忘れられない。
もう一度なんて無理だ。
あの時心は完全に折られたのだ。
「潮時かもね」
ぽつりと呟く。
棚の上に置かれた時計は二十三時半を指すところだ。
今日は私の誕生日だった。
それを彼は今日はフットサルを友人たちとやるからとあっさりとキャンセルしてきた。
最初から約束していなかったのなら許せた。
もともとそれほどイベント事に興味はない。
だけど、私との約束をキャンセルしてまで友人とのフットサルを取ったのだ。
私のことは雑に扱ってもいい、そう思っていると突きつけられた気がした。
癪に障ったので友人と予約していたレストランで食事をした。
急な誘いだったにも関わらず彼女は私の誕生日を覚えていてプレゼントを用意してくれていた。
彼とは違う。
知らず知らずのうちに溜め息をついていた。
チャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろう?
むしろこんな時間に訪ねてくる相手は怖い。
もう一度チャイムが鳴る。
何かあった時のためにスマホを持って玄関の扉の前に立った。
スマホが鳴る。
驚いて見れば彼からの電話だった。
通話にして耳に当てる。
「もしもし」
「今、家の前にいるんだ。開けてくれないか?」
どうやらチャイムを押したのは彼のようだ。
「わかった」
通話を終えて溜め息を堪えて鍵を開けて扉を開けた。
そこにはピンクのヒヤシンスのミニブーケを抱えた彼がいた。
「今日はごめん」
無言で彼を見る。
彼は居心地悪そうに身じろぎした。
「誕生日、おめでとう。間に合ってよかった」
彼からミニブーケを渡される。
「それを渡したかっただけだから。帰るな」
そしてあっさりと帰っていった。
私も引き留めはしなかった。
扉を閉めて鍵をかける。
それから改めて手の中にあるミニブーケを見る。
ピンク色の花は私がピンクが好きだから選んでくれたのだろうか?
わからない。
まあいいわ。
このミニブーケに免じてもう少し先延ばしにあげるわーー今日くらいは。
読んでいただき、ありがとうございました。




