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すこやかな人の花
その人は、すこやかな人だった。
身体ももちろんだけど心もだ。
例えるならこのディモルフォセカの花のようだ。
すっきりと伸びた茎の先で大きな花が咲いている。
花瓶に飾ってあるこの花はその彼がくれたものだった。
可愛い花ですね、と褒めたら、気に入ったのならどうぞ、とくれたのだ。
大切に育てているのであろうに何の躊躇いもなく切ってくれて。
笑顔で差し出してくれた。
そこには何の打算もなかった。
ただ、気に入ったのなら、という純粋な厚意しかなかった。
心がすこやかでないとなかなかこうはできない。
身体もすこやかでないと心をすこやかに保つことは難しい。
彼の姿を思い返してみる。
鍛えているのだろう、体幹がしっかりしていて背筋もぴんと伸びていた。
笑顔も爽やかだった。
思わず見とれそうになってしまうくらいに。
慌ててお礼を言った私に向けられた笑い声も決して嫌なものではなかった。
それがまた、好印象で。
だから、密やかに思う。
また、会えたらいいな。
読んでいただき、ありがとうございました。




