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望みのない恋の花
望みのない恋だというのは最初からわかっていた。
貴方の隣ではいつも彼女が幸せそうに微笑っていたから。
貴方も彼女の隣で同じ顔をして微笑っていた。
そこに余人の入る隙間はない。
それは最初からわかっていた。
だからーー
「先輩!」
声をかければ振り向いてくれる。
私を見て親しげに微笑う。
いつも通りだ。
だから私もいつものように微笑って、黄色のチューリップの花束を差し出した。
「先輩、卒業、おめでとうございます」
「ああ、ありがとう」
笑顔で受け取ってくれる。
貴方はその花束の意味には気づかない。
それでいいの。
伝えるつもりのない恋だから。
彼女は気づくかもしれない。
だけどきっと貴方に言うことはないだろう。
「今までありがとうございました。お元気で」
「ああ。お前も頑張れよ」
「はい!」
笑顔で頷く。
そして、心の中だけで呟く。
ーーさようなら、先輩、大好きでしたよ。彼女さんと、お幸せに。
読んでいただき、ありがとうございました。




