表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな花の物語  作者: 燈華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/63

ひかえめな美の花2

目の前に置かれた鉢に植えられているのは春蘭という花らしい。

花言葉が「ひかえめな美」と聞いては? って思った。

まじまじと春蘭を見てしまう。


どこがひかえめなんだろう?

蘭の中では比較的地味、だとかそういうことなのだろうか?


確かに淡緑色の花は地味かもしれない。

だけど、地味とひかえめは違う。

確かに他の蘭から比べれば主張的でない分、ひかえめかもしれない。

だけど、この花をひかえめだとは断じて認めない。


わかっている。

そんなのただの言いがかりだと。

彼が彼女のことをこの花のようにひかえめで美しい、と言ったから。


わかっている。ただの(ひが)みだ。

彼女だって彼の友人でしかない。

それは勿論わかっている。

この花をくれたからそんなことを言ったに過ぎないのだろう。


でも、何気なく言われた言葉って残るでしょ。

言ってすぐに本人は忘れたとしても。


「どうしたの? 好きじゃない?」


なーんにも気づかないで呑気に言ってくるのも腹が立つ。


「別に」


つんと素っ気なく言う。

首を傾げながら彼は的外れなことを言う。


「君はもっとゴージャスな花のほうがぴったりだよ? でもこの花も可愛いでしょ? 部屋のいいアクセントになるんじゃないかな?」


そういうことじゃない。

そういうことじゃないのに。


「うーん? 本当にどうしたの? ご機嫌斜め?」


鈍感過ぎる。

愛しい分だけ憎らしくなってきてしまう。


「そうね」

「そっか。どうしたら機嫌を直してくれるかな? 僕の愛しいお姫様は」


そんな風に言っておけば機嫌を直すと思われているなんて心外だ。


もういっそ私も誰かを褒めちぎろうかしら?

そうすれば私の気持ちも少しはわかるでしょ。

……何のダメージも受けてくれなければ、惨めになるのは私のほうだけど。


心の中で溜め息をつく。

ここは私が大人になるしかない。


「そうね。私に似合う花を両手いっぱいにちょうだい。そうしたら許してあげる」


彼はほっとしたようだった。

本当に気づいていないのだ。

本当に鈍感な人。


「うん、わかった。楽しみにしていて」

「ええ」


……きっとその花で私は彼を許してしまう。

本当、恋というのは惚れたほうの負けなのだ。


読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ