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小さな花の物語  作者: 燈華


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門出と別離の花

「げ、元気でね」


餞別のスイートピーの花束を差し出しながら告げる。


貴方の門出には泣かないって決めていたのに。

別離がこんなにも苦しくて涙が止まらない。

笑顔で定番のスイートピーを渡して「頑張って」って言うはずだったのに。


彼は柔らかく苦笑する。


「そんなに泣くなよ。別に永遠(とわ)の別れってわけじゃないんだぞ?」

「わ、わかってる。でも、止まらないんだもん」


涙は止めようと思って止まるものではない。

乱暴に目元を擦る。

それでも涙は後から後からこぼれてくる。


彼がいなくなるのが寂しくて堪らない。

もう当たり前のように会えなくなるのがつらくて寂しい。


彼は困ったように頭を掻く。

別に困らせたいわけではないのに。

でも涙は止まらない。

止まってくれない。


「ほら泣くな」


ぐいっと乱暴に涙を拭われる。


「追いついてこい。待ってるから」

「う、うん」


一生懸命に頷く。


「もう行くな」


ここに自分がいたら私の涙が止まらないと思ったのだろう。

彼は私に背を向けて歩き出す。


その背に精一杯叫んだ。


「ま、待ってて。絶対に行くから!」


彼は振り返らずに片手を挙げて応えてくれた。


乱暴に涙を拭く。

もう泣かない。


絶対にまた彼のところに行くんだから。


そう決意を込めて遠ざかる彼の背中を見ていた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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