率直の花
「全然ダメだな。やり直し」
ばさりと紙の束を机に置かれる。
「どの辺りが?」
「まずコンセプトに合っていない。それからどこかで似たようなものを見たな。何よりつまらない」
「ねぇ、率直過ぎない!?」
「取り繕っても仕方ないだろう」
「貴方には優しさってものがないの!?」
「もちろんあるぞ。だけど今は必要ない」
きっぱりと言われてしまう。
「うぅ、優しさがほしい……」
「それが終わったらくれてやるよ」
「うぅー……」
「唸っていないでさっさとやれ」
確かにやらなければ終わらない。
もう一度仕様書を引っ張り出す。
コンセプトが違うと言われたからもう一度しっかりと読み直す。
三度読み直す。
駄目だ。思いつかない。
ぼんやりと窓の外で揺れる猫柳を見る。
「外を見てないでさっさとやれ」
「詰まってるの。少しくらいぼーっとさせて」
はぁっと溜め息をつかれる。
「だいたいお前の個性がまったく出ていないんだよ。お前に託したのはお前ならではのアイデアがほしかったからだ」
きょとんとして思わず彼を見つめてしまう。
「お前がいいと思うものをまず見せてみろ。どっかで見たような類似品はいらない」
ゆっくりと言葉が脳に染み込んでくる。
ぱっと思考がクリアになる。
今までぐるぐると考えていたものが全て吹っ飛んだ。
「あっ。いけそう」
「頑張れ」
彼が離れていく。
それさえ気にせず私はアイデアを書き留めるのに夢中だった。
*
どきどきして待つ。
「まあ細かい修正は必要だがこれでいい」
「よかったー」
安心してどっと身体から力が抜けた。
椅子の背もたれに身体を預ける。
「よくやった」
ぽんと頭に手を乗せられ、すぐに離れていく。
私はうつむいた。
緩んだ表情を誰にも見られないようにするために。
読んでいただき、ありがとうございました。




