ひかえめな美の花
「君はこの黄梅のような人だね」
彼は大きな花瓶に挿してある黄梅の大振りな枝を見ながら言う。
私はその黄梅を見た。
黄色い花を咲かせているその枝。黄色という強い色の花にも関わらず、不思議と周りに溶け込んであまり存在感がない。
香りもなく気にして目を向けなければ存在に気づかない。
そんな花に喩えられるなんて。
確かに私は地味だ。
誰の目を引くこともない。
そんな陰口を叩かれることもあった。
事実だけど、傷つかないということはない。
表面上は気にしないようにしていたけれど。
でもまさか彼が遠回しにそんな嫌味を言うなんて。
彼はそのようなことをするような人ではないと思っていたのに。
がっかりすると同時に彼にでさえそう思われていたことに傷つく。
「うん? どうしたの?」
「まさかそんなふうに思っているなんて思わなくて」
まさか地味で目立たない、傷つけてもいい相手だと思われていたなんて。
私の心情なんてまるでおかまいなしに彼は微笑って口を開いた。
「この花はひかえめで美しいだろう? 自分だけが目立とうとするのではなくて周囲と調和している。そういうところが君に似ているなって思ったんだ」
「え?」
「ひかえめな美っていうのかな? そういうところが美しいと思う」
まさか、そんなふうに思われていたなんて。
先程までとは全く違う意味で同じことを思う。
「あ、ありがとう」
私は赤くなった顔を隠すように顔を伏せた。
読んでいただき、ありがとうございました。




