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小さな花の物語  作者: 燈華


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追憶の花

懐かしい。

ふとそんな思いが湧き起こった。

思わず手に取る。


レトロなそれはぜんまい式のオルゴールだ。

蓋に描かれているのはクリスマスローズだろうか。

繊細な色使いが余計に追憶を誘う。


私の手は無意識にぜんまいを巻いていた。

蓋を開ける。


流れ出したのは哀愁を帯びたメロディー。

私には懐かしい曲。

若かった頃に流行った曲だ。


その曲が記憶の蓋を開いた。

溢れ出たのは私が一番輝いていた頃の記憶。


ーー今が一番幸せね。


そう微笑(わら)った自分の声が耳に甦る。

あの時は、本気でそう信じていた。


今がすべてだったあの頃。

未来のことなんて何も考えていなかった。

あんなふうにきらきらと輝いている毎日が永遠に続く気すらしていたと思う。


会いたい人にはいつでも会えて、ずっと一緒にいられる。

そんなふうにすら思っていた。


溢れた記憶の中にはもう何年も会っていない人も、もう二度と会えない人もいる。


追憶はいつだって、ほんの少しの悲しみを伴う。

それでも想い出は優しく輝いていて。

思い出して胸を満たすのは温かい気持ちだ。


もう二度と戻れはしないけど。




だけど、過去の輝かしい想い出に胸を張って言える。


ーー幸せな人生だったわ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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