内気な花
内気な私がまさか恋をするなんて。
そしてまさか告白しようと決意するなんて。
「大丈夫なの?」
私のことをよく知っている友人も心配そうだ。
「が、頑張ってみる」
「無理はしないほうがいいよ」
「ううん、大丈夫」
「そう。じゃあ頑張って」
「うん。頑張る。骨は拾ってね」
「うん。振られたら夜通し付き合うよ」
「明日が休みでよかったね」
「振られる前提じゃない」
「だって彼が私みたいな子を相手にするはずないもん」
彼は誰にでも声をかけ、困っていれば手を差しのべてくれる人気者だ。
私みたいに内気な人間にも笑顔で話しかけてくれて、気づいたら好きになっていた。
我ながら単純というかチョロいというか。
「そうかな? 私が男だったら絶対に付き合うけど」
「ふふ、ありがとう。時間だからもう行くね」
「うん。頑張れ!」
「ありがとう」
緊張に震える足で待ち合わせ場所に向かう。
珍しい枇杷の花を模したペンダントトップを握る。
前に彼が褒めてくれたもの。
お守り代わりにつけてきたのだ。
まずは来てくれるか。
約束を反古にするような人ではないけど不安になる。
その不安は杞憂だった。
彼は先に来て待っていてくれた。
私を見つけて笑顔で手を振ってくれる。
ちょっとだけ手を振り返して震える足を叱咤して彼のもとまで行く。
「来てくれてありがとうございます」
「ううん、全然。でも珍しいね。どうしたの?」
「は、はい。お伝えしたいことがありまして」
「ん? 何かな?」
「えっと、」
「うん」
なかなか言葉にできない私を急かさずに待ってくれている。
そんな優しいところが、好きだ。
その気持ちをそのまま声に出した。
「貴方が好きです」
驚いたように目を見開いた彼はふわりと微笑う。
「ありがとう」
やっぱり駄目だった……。
「じゃあこれからは恋人としてよろしくね」
「え?」
「あれ? 好きって伝えたかっただけ? 恋人にはなってくれないの?」
「そう、じゃなくて、ありがとう、って。だから振られたかと……」
「え? あ、もしかして気持ちだけ有り難く受け取るね、って意味だと思った?」
こくりと頷く。
「それはごめん。内気な君が精一杯気持ちを伝えてくれてありがとう、って意味だったんだ。僕も君が好きだよ。だから付き合ってください」
「……はい」
まさか両想いだったなんて。
勇気を出してよかった。
私は顔を綻ばせて微笑んだ。
読んでいただき、ありがとうございました。




