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小さな花の物語  作者: 燈華


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無意識の花

待ち合わせ場所はアッツ桜の咲く花壇の前だった。

彼はまだ来ていない。


ついつい花壇のほうに目を向けてしまう。

ピンクや赤、白の花が一面に植えられていて、綺麗だ。


あっ。


花がらを見つけたので手を伸ばして摘む。

一つ摘めば他のも気になってしまう。

つい熱中して摘んでしまう。


はっとする。

無意識というのは恐ろしい。

花が好きな私は花がらを見たら無意識に摘み出してしまう。


摘んだ花がらはそっと土の上に置いておいた。

くすくすという笑い声が聞こえ、隣を見れば待ち人の姿があった。


「ねぇ、いつから見ていたの?」

「さあ?」


じとっとした目で見る。


「結構前から見てたでしょ?」


彼は降参とばかりに軽く両手を上げた。


「うん」

「もうっ。声をかけてよ!」

「ごめんごめん」


笑って謝ってくる。


「変わらないなぁって思って。初めて言葉を交わした時も君はそうやって花がらを摘んでたね」

「そうだったね」


私たちが言葉を交わすきっかけも思えばアッツ桜だった。

学校の花壇に植えられているアッツ桜の花がらを取っている時に彼に声をかけられたのだ。


『何をしているの?』


そんなふうに声をかけられた。


『花がらを摘んでるの』

『花がら?』

『咲き終わった花のことだよ』

『へぇ』


彼は馬鹿にすることなく、『それなら僕も』と言って一緒に花がらを摘んでくれたのだ。

それがきっかけで話すようになり、告白されて付き合うようになった。


「貴方も変わらないよ」

「そうかな?」

「ええ」


貴方の優しさは変わらない。

もっと早く声をかけることもできたのにそれをせずに見守ってくれていた。

それにデートなのに待ち合わせ場所で花がらを摘んでいても嫌な顔一つしない。


「んー、わからないけど、まあいいや。ほら行こう」

「うん」


当たり前のように差し出された手に手を乗せればぎゅっと握られた。

汚れているかも、と躊躇されることもない。

自分の手が汚れることも気にしない。


心の中で呟く。


ーーやっぱり貴方の優しさは変わらないよ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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