うぬぼれの花
うぬぼれているつもりはなかった。
本当になかった。
でも心の中のどこかで選ばれるのは私だと思っていた。
だから今こんなに恥ずかしい。
箸にも棒にも引っ掛からなかった。
もう穴があったら入りたい。
いっそ誰か埋めてほしい。
うずくまって膝に顔を埋める。
自分の作品の前。水仙をモチーフにしていた。
それが余計に自分のうぬぼれを突きつけられているようで。
そっと肩に手を置かれた。
「残念だったね。でも俺は君の作品が好きだな」
その言葉に顔を上げる。
何回か言葉を交わしたことのある彼だった。
彼は私ではなく私の作品のほうを見ていた。
だからだろう、素直に言えた。
「……ありがとう」
彼の視線が私に向けられる。
その視線に引っ張られるようにして立ち上がる。
微かに彼の唇の端が上がった。
「水仙は君のイメージにぴったりだと思う」
「それって、うぬぼれが強い、ってこと?」
ひねくれて言えば彼はきょとんとした。
「凛とした立ち姿と意志をはっきりと持っていそうな配色が君に似ているかなって思っただけだよ」
そんなふうに水仙を見たことがなかった。
私自身のことも。
「それに、うぬぼれが強いことのどこが悪いの? 制作者に愛されていない作品なんて可哀想なだけだ。誰の心も動かさない」
すとんとその言葉は私の心の真ん中に落ちた。
「ありがとう」
それなら私はもっと水仙のモチーフを極めてみよう。
私の顔つきが変わったのだろう。
彼は軽く目を見開いた後で、微笑った。
「頑張れ」
もう一度ぽんと肩を叩いて離れていく。
私の中に熱が宿った。
読んでいただき、ありがとうございました。




