わがままな美人の花
「君はわがままな美人だね」
真面目なトーンで言われたら怒るところだけど、からかうような軽い口調で言われたから一瞬で怒りは霧散した。
「まあ、美人だって言ってくれるの? ありがとう」
にっこり微笑って言ってやる。
彼は虚を突かれた顔をした。
「わがままって言われるのはいいんだ?」
「だってそれはその人の解釈だもの」
「それでいいの? わがままなんて大抵悪口だよ?」
「あら。悪口のつもりで言ったの?」
「そんなつもりはないけど」
「なら美人と言ってくれたことだけ受け取っておくわ」
「はは。前向きだね」
「当然よ」
いちいち人の言葉に傷ついていたらあっという間にぼろぼろになってしまう。
だから人の言葉は前向きに、いい言葉と助言だけを受け取ることにしている。
ふっと彼が微笑う。
「そんな君にプレゼントだ」
「プレゼント?」
はい、と渡されたのはデンドロビウムの鉢植えだ。
「君の希望には添えたかな?」
どうやら「私に似合う花をちょうだい」と言ったことをわがままと称したようだ。
随分と悩ませたようだ。
正直適当に薔薇なんかが贈られるかと思っていた。
「ええ」
「でも意外って顔しているね」
「そうね。意外だったわ」
「気品のある華やかさが君にぴったりだと思ったんだ」
気品のある華やかさ。
まさかそんなふうに評価されるとは思っていなかった。
何て素敵な評価だろう。
嬉しさが込み上げてくる。
「ふふ、ありがとう。嬉しいわ」
満面の笑みでお礼を言う。
彼は目元を赤く染めてそっと視線を逸らした。
それに微笑みが深くなるのを止められなかった。
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