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小さな花の物語  作者: 燈華


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清らかな愛の花

『それはどこまでも清らかな愛だった。』


最後の一文を読んで本を閉じた。

そっと本をテーブルの上に置いた。


テーブルにはスプレー菊が花瓶に活けて置いてある。

本にも出ていた。

これは本当に偶然だけれど。


私がこの花を買ったことには特に意味はない。

目についたから気まぐれに買っただけだ。


この本の中では重要なアイテムだったけど。


本の内容はざっとこんな感じ。

記憶喪失の彼。

それを献身的に支える恋人。

だけど彼は他の女性に惹かれてしまう。


身を引く決意をする彼女。

別れを告げて彼女は彼のもとを去る。

彼女が出ていって、ぼんやりとスプレー菊を見ていると急に頭痛がして彼は記憶を取り戻す。


彼女の別れの言葉が甦り、とっさに追いかける彼。

最後は海沿いの道を歩く彼女の心情で終わる。


二人がどうなったのかわからない。

小説は彼が彼女に追いつく前に終わっている。


二人の想い出や日常生活の中で折々に出てくる花がこのスプレー菊だ。

記憶を取り戻すきっかけにもなる重要なアイテム。


それを気まぐれにつついて、ぽつりと呟く。


「私には無理だな」


そういうどこまでも真っ直ぐな女性の愛に憧れるが、私には無理だ。


相手に好きな人ができても静かに身を引くなんて絶対に無理だ。

(わめ)いて責めて(すが)ってしまうだろう。

自分には無理だとわかっているからこそ憧れるのだろう。


もう一度スプレー菊をつついた。

そして最後の一節を憧れとともに(そら)じてみる。


「ーーそれはどこまでも清らかな愛だった」



読んでいただき、ありがとうございました。

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