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小さな花の物語  作者: 燈華


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希望の花

希望を持てと貴方は言うけれど。

どうやって希望を持てばいいのかわからない。


こんな期待も希望も持てない世の中で。

持った端から奪われていくこの世の中で。

希望など持てるはずもない。


わたしはただ部屋の隅でうずくまっている。

動けない。

希望なんて持てるはずがない。






ある日、貴方はスノードロップの鉢植えをくれた。


「スノードロップの花言葉は"希望"というんだよ。君の希望になれば」

「希望……」

「雪解けの頃に咲く花なんだ。他の花が断る中、スノードップだけが雪に色を分けたという伝説もあるんだよ」

「雪解け……」

「そう。よかったら育っててみて」


まだ咲いていない。

(つぼみ)も出ていない。

葉っぱだけが伸びている。


「……うん」


鉢を抱えて小さく頷いた。


もし、この花が咲いたら……。


最初のうちは水をあげて遠くから見ているだけだった。

少しずつ少しずつ近寄って。


一緒に少しだけ日向ぼっこ。

並んで外を眺めていた。


それからは毎日隣に座って外を眺めていた。

膝を抱えていたのが徐々に姿勢が緩やかになっていく。


そしてある日には暖かさにころりと転がって気づいたら眠ってしまっていた。

そんなところで寝たら風邪を引く、と注意された日々は遠い彼方、貴方はただ静かに毛布をかけてくれていた。


そんなふうに過ごしているうちに。

蕾が出てきて、ゆっくりと膨らんでいきーー。


「……あ」


ついに花が咲いていた。


咲いてなお、下向きの白い花。

楚々とした立ち姿。

その白い花に日の光が柔らかく降り注ぎ、きらきらと光っているようだ。


その姿は希望そのものの姿のようだった。


心の奥で、ことりと小さく何かが動き出した気がした。


読んでいただき、ありがとうございました。

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