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リラ・ヴェルノアの選択  作者: 夜の現在地
“眠る王国“マグナレオール
19/19

魔法が現実になる日


 ――今日は“初日”だ。


 その二文字だけで、意識の覚醒がいつもよりとびきり早い。

 私の部屋は宿の一室で、窓の外には白い石と水晶の光が、朝の色を受けてゆっくりと揺れている。


 昨日の高揚が、まだ胸に残っていた。

 でも今日はそれを、ただの感動で終わらせるわけにはいかない。


 私は布団から抜け出し、髪を指で梳いた。鏡に映る白髪が、ここでは妙に目立たない。むしろ、白の世界に馴染んでしまう。


 ――落ち着け。今日から学生。私は、学生。


 言い聞かせながら、いつもより丁寧に身支度をする。

 服の皺を伸ばして、靴を揃えて、ペンを二本確認して、学生証の水晶板をカバンの内側ポケットにしまう。


 机の端に、昨日買っておいたパンがある。

 袋を開けると、香ばしい匂いがふわりと立った。


 湯を沸かして、珈琲を淹れる。

 この国の珈琲は、香りが強い。甘い空気に混じっても負けない主張がある。ここでは主張しないものは残れないのだろう。


 パンを一口。


 外側はかりっと硬く、内側がふわりとほどける。

 口の中に、昨日の私が選んだ「正解」が広がった。


 ――よし。今日は地に足が付いてる感じがする。


 珈琲を飲みながら、履修票をもう一度眺める。

 今日の授業は三つ。いずれも、この国でしか触れられないものばかりだ。


 基礎魔法構築学I。

 魔法制度史/運用論理。

 資料管理・分類演習。


 文字を追うだけで、胸が勝手に弾む。


 ――楽しみすぎて、顔が締まらない。まずい。


 歯を磨きながら、私は鏡の中の自分に注意する。

 口元が緩んでいる。目が、完全に子どものそれだ。


 泡を吐き出して、もう一度だけ小さく笑ってしまう。


 ――無理。楽しい。


 *


 王立大学へ向かう道は、相変わらず美しい。

 白石の通路が緩やかな曲線を描き、水晶の梁が空を横切る。朝日がその面を滑り、淡い青と紫が足元に落ちている。


 上へ行くほど空気が澄んでいた。

 息を吸うだけで頭が冴える気がして、私は歩幅を自然に早めた。


 講義棟へ近づくにつれ、人が増える。

 学生たちの声が、昨日の「静けさ」とは違う種類の音を作っていた。笑い声、ページをめくる音、軽い議論。どれも、白い空間に吸われずに残っている。


 ――やっと、大学っぽい。


 教室は半円形の段差で、中央に講壇があり、天井が高い。

 水晶の板が壁に浮かぶように設置され、そこに文字が淡く走っては消える。黒板というより、光の層だ。


 学生たちは様々だった。

 年齢も、身なりも、恐らく国籍も。研究者のような顔つきの者もいれば、まだ幼さの残る若者もいる。


 私は席を選ぶのに少し迷って、結局「前でも後ろでもない、逃げ道のある場所」を取った。


 ――目立ちたくない。けど見逃したくもない。欲張りな席だ。


 やがて、講壇の横の扉が開いた。


 入ってきたのは、一人の教授だった。

 背は高くない。服装は白と灰の中間で、飾り気がなく、手には薄い水晶板を持っている。


 歩き方が静かだ。

 それだけで教室の空気が変わった。


「――基礎魔法構築学Ⅰ、初回講義を始める」


 声は淡々としているのに、言葉がまっすぐ届く。

 教授は名を名乗らなかった。いや、名乗ったのかもしれないが、私はその瞬間に“内容”へ集中してしまって覚えきれなかった。


 教授は水晶板を机に置き、指を軽く滑らせる。

 壁の光の層に、一本の線が引かれた。


「魔法とは何か。――この問いは、ここでは禁句に近い」


 ざわめきがわずかに走る。


「なぜなら、この国の魔法は“定義”ではなく“運用”で成り立つからだ」


 教授は一度、教壇の端に視線を落とした。


「誤解してほしくないのは――

 魔法は、特別な血を引く者だけのものではない、ということだ」


 教室の空気が、わずかに動く。


「マグナレオールの魔法は、才能の話ではない。

 文化であり、制度であり、技術だ」


 教授は背後の水晶板に、淡い光で図を浮かべた。


 円が三つ、重なり合うように描かれる。


「第一に、“感じる”こと。

 流れや、圧。そして偏り。

 多くの者はこれを直感と呼ぶが、本質は同じだ」


 私は、無意識に指先を握りしめていた。


 ――感じる。


 それなら、覚えがある。

 嫌な予感。

 なぜか避けた選択。

 理由のない確信。


「第二に、“形にする”こと。

 構文、記号、媒体。

 ここからが、君たちが学ぶ魔法であり……マグナレオールの“知“だ」


 教授の指が、二つ目の円をなぞる。


「だから留学生であっても問題はない。

 この段階までなら、誰にでも再現可能だ」


 ……え?


 思わず、呼吸が止まった。


 留学生でも。

 誰にでも。


 つまり――


「私にも……?」


 声には出なかった。

 でも、胸の奥が熱を持つ。


 魔法は、遠い国の話じゃない。

 選ばれた者の特権でもない。


 ――私にも、触れられるもの。


 教授は、ほんの一瞬だけ間を置いた。


「最後に、第三の円がある」


 教室が静まり返る。


「だが――」


 水晶板の光が、すっと消えた。


「基礎魔法構築学Ⅰでは、第二までを扱う。

 それで十分だ」


 その言葉に、なぜか引っかかりを覚えた。


 十分なはずなのに。

 何かが、少しだけ欠けている。


 でも――


 今はそれよりも。


 胸の内側で、静かに、確かに。


 魔法という言葉が、現実になった瞬間だった。


 再度、背後の水晶板に光が浮かぶ。

 線が分かれ、複数の枝になる。

 “魔法”という言葉の周囲に、五つの言葉が円を描く。

 構築。補助。修復。変換。制御。


「古代、魔法は個人の才能に依存した。ゆえに再現性がなかった。再現性がないものは、国家の制度にならない」


 教授は指を止め、短く言う。


「制度にするには、条件が要る。誰がやっても、一定の結果が出ること。――やがてそれが第一の技術。“構築”の発明に繋がった」


 私は息を止めていた。


 ――構築。


 ただ魔力を出すのではない。

 “魔力を出すための構造”を先に作る。

 そうすれば才能の差は縮まる。結果は安定する。知は継承される。


 教授はさらに続ける。


「だが魔法には欠点があった。便利すぎたのだ。便利すぎる技術は、社会の構造を壊す」


 教室の空気が少し重くなる。

 学生の何人かが、わずかに表情を変えた。


「そこで――科学技術が組み込まれた」


 光の層に、別の線が追加される。

 魔法の枝に、金属のような記号が絡みつく。


「“枠”を与える。規格を与える。制御を与える。魔法を、個人の衝動から切り離す」


 教授は短く咳払いをした。


「この国において、魔法は自由の象徴として語られる。だが実態は逆だ。――自由に見えるように、徹底して制御されている」


 その言葉が、胸の奥に刺さった。


 ――昨日感じた“自由の枠”だ。


 教授は教室を見渡し、淡々と続ける。


「では、構築の基本へ入る。今日は“最小単位”を覚える」


 壁に、幾何学の図形が浮かぶ。

 正三角形、四角形、円。

 それらが重なり、少しずつ複雑な“回路”に見えてくる。


「魔力は流れる。流すには道が要る。道には線が要る。線には意味がある。意味のない線は破綻する」


 教授が指先で図をなぞると、線がわずかに光った。

 その光が、脈打つ。


「この図式は、誰が見ても同じだ。だから共有できる。――共有できるものだけが、制度になる」


 私は、思わずペンを握り直した。

 書き取るべき情報が多すぎる。理解が追いつくのに、体が遅れる。


 教授が実習用の小さな水晶片を配り始めた。

 学生たちが手に取ると、それは淡く光る。


「手のひらに乗せ、息を整えろ。魔力を“押し込む”な。構造に流せ。道に、線に流せ」


 私は水晶片を手の上に置いた。冷たい。

 息を吸って、吐いて――。


 ――流す。


 そう意識した瞬間、私の中で“道”が見えた。


 一本の線。流れ。抵抗。

 この水晶片の中に、最小単位の構造が「既に」刻まれている。

 だから私は、そこに合わせればいい。


 合わせるだけなら簡単だ。


 水晶片が、淡く光った。

 周囲より一拍早く、澄んだ光。


 ……しまった。


 気づいた時には遅かった。

 いくつかの視線が、私の手元に集まっている。


 教授の目が、こちらに向いた。

 責めるでも驚くでもない。ただ、観察する目。


「――早いな」


 その一言で、教室の空気がわずかに震えた。

 誰かが小さく息を吸う音。

 誰かが隣に耳打ちする気配。


 私は、平然と頷いたつもりだった。


 ――違う。早いんじゃない。構造が、分かるだけ。


 でも、説明できない。


 教授はそれ以上言わず、次の指示を出した。


「次。構造を一つだけ変える。図式の角度をずらせ。流れがどう変わるか、観察しろ」


 私は指示通りに角度をずらし、流れを見た。


 光が、少し濁る。

 抵抗が生まれる。

 構造が、呼吸をやめる。


 ――壊れる。


 私はすぐに戻した。

 光が、また澄む。


 この国の魔法は、正確に、美しく、制御されている。

 そして、制御されているがゆえに、崩れた時の落差が大きい気がした。


 講義は続いた。

 歴史から入り、構築の思想へ降り、最小単位へ落とし込む。

 教授の言葉には無駄がなく、削ぎ落とされているのに、内容が重い。


 私の頭の中が、喜びで満たされていく。


 ――やばい。これは、好きだ。楽しすぎる。


 授業が終わった時、私は手のひらの水晶片を名残惜しく眺めていた。

 周囲の学生たちが、私をちらちらと見る気配がある。


 私は何もなかった顔をして、水晶片を返した。


 目立ちたくない。けど、隠すのも難しい。少し面倒ね……


 初日から、ちゃんした学生になり損ねた気がした。


 *


 廊下に出ると、さっきまで抑えられていた学生たちの声が一気に戻る。


 私は左に大量のテキストを抱え、鞄の中身を整理しながら歩いていた。

 講義内容の熱がまだ指先に残っている。


「それ、重くない?」


 背後から、声が飛んできた。


 振り返ると、明るい栗色の髪が目に入った。

 光に当たって、少し金に寄る。その色だけで、胸がふっと緩む。


 ――懐かしい。


「大丈夫よ」


「うそ。絶対重いって顔してる!」


 その子は当然のように私の鞄の取っ手に手を伸ばした。


「貸して。半分持つ」


「……え、ちょ、」


 拒否する隙がない。

 距離感が近いのに、嫌な侵入じゃない。空気が明るい。


「わたし、マレイア・フィオラ。あなたは?」


 名乗るのが早い。

 私の返事を待たない勢いで、自然と笑顔になる。


「リラ・ヴェルノア」


「リラ!わ、いいね。その名前、なんていうか……口の中で転がすと綺麗ね」


 何それ、と言いかけて飲み込む。


 この子は、たぶん私の“考える時間”に割り込んでくるタイプだ。

 そしてその割り込み方が、上手い。


「さっきの授業、いたよね。前の方」


「……見てたの?」


「うん。なんか、光り方が違ったし!凄く目立ってたよ」


 さらっと言う。

 私の手元が早く光ったことを、見ていた。


 ――やっぱり、見られてた。初日から。


 でもマレイアの目は、警戒じゃない。単純な興味からか。


「次の授業もいっしょかな?」


「たぶん違うわ。私は制度史の方」


「え、座学……。わたし本当に無理。すぐ眠くなっちゃう」

「じゃあ、別か。だけどさ、次終わったらランチタイムでしょ?その時また話そ。ね?」


 “ね?”の圧が強い。

 断る選択肢が、最初から無い。


「……ええ」


「やった!それじゃ、またあとで」


 走り去る背中が軽い。

 髪が揺れて、その色が一瞬だけ光を拾う。


 私は小さく息を吐いた。


 ――学生生活、これが普通なのだろうか?


 普通なら、悪くない。


 *


 次の講義――魔法制度史/運用論理。


 教室は先ほどよりも静かで、空気が硬い。

 教授は年配の女性で、声が落ち着いている。話し方が、制度そのものみたいに整っていた。


「魔法は自由を与えた。――という話は、物語の中だけにしておきなさい」


 初手から強烈な言葉。


「魔法は便利なものです。便利なものは、必ず権力に取り込まれる。取り込まれない技術など存在しない」


 私は、ペンを走らせた。


 教授は、制度の歴史を語った。

 発展の歴史ではない。抑制の歴史だ。


 どの時代に、どの条項が作られ、どの運用が追加され、どの手続きが増えたか。

 “禁止”が積み上がっていく。


 魔法を使うために、申請が必要になる。

 申請のために、証明が必要で。証明のために、監督が必要になった。


 ――監督、か。


 教授は淡々と続ける。


「科学技術は“補助”として組み込まれた。だが本質は違う。科学技術は、魔法を縛るために組み込まれた」


 私は、微かに眉を寄せた。


 ――さっきの講義でも、違和感を覚えた箇所。


 便利な魔法を、もっと応用すればいいのに。

 国家が強くなる。民が楽になる。生活が良くなる。


 だが――教授の言う通りかもしれない。

 便利すぎるものは、均衡を壊す。

 均衡を壊すものは、争いを呼ぶ。


 教授は最後にこう言った。


「この国が自由に見えるなら、それは制度が完成しているからです。制度が完成しているものは、外から見ると自由に見えるの」


 私は、わずかに息を飲んだ。


 ――自由の仮面を被った規律。


 この時点ではまだ、私はそれを“違和感”としてしか掴めない。


 ――面白い。悔しいけど、凄く面白い。


 授業が終わり、廊下に出た瞬間、私は肩の力が抜けた。


 そこへ、さっきの栗色が飛び込んでくる。


「リラ!」


 マレイアが両手を振っていた。


「生きてる? 座学の海で溺れてない?」


「……溺れそうだった」


「でしょ!? だから言ったのに!」


 言ってない。


「ランチ行こ!初日だし、ちゃんと“マグナレオールのお昼”にしないと!」


 “マグナレオールの昼”って何。

 でも、言い方が可愛い。心はもう、とっくに弾んでいた。


 *


 学内の食堂区画は、中庭のような場所に繋がっていた。

 白石の回廊がぐるりと囲み、中央には浅い水盤。水盤の底に水晶が埋め込まれていて、水が光を拾ってゆらゆらと踊る。


 植物がある。

 剪定が完璧で、葉の伸びた姿が美しい。


「ここね、管理魔法で湿度も温度もずっと一定なんだよ」


 マレイアが当然のように言う。


「植物が一番“気持ちいい状態”を保てるようにしてるの。で、人間もついでに気持ちいい」


 人間がついで……なんだ。


 私たちはパンとスープを買った。

 パンは香ばしく、スープは白く、香草の香りが柔らかい。


 マグナレオールの食材は、味が“澄んでいる”。

 濃いのではなく、輪郭がはっきりしている。素材そのものが、きちんと主張してくる。


 私は一口食べて、目を細めた。


「……美味しい」


「でしょ!ここね、授業より大事!」


 大事ではない。

 でも、今は否定しない。


 中庭に座って食べるだけで、マグナレオールの文化に溶け込んだ気がする。

 光が揺れて、水が揺れて、学生の声が柔らかく混じる。


 昨日までの感動が、今日で確信に変わる。


 マグナレオール。

 この国は、私の好奇心を肯定してくれる。

 そう感じた。


 ……だが、この国は何かを隠している。

 私はそんな予感がしていた。


 *


 午後の講義――資料管理・分類演習。


 教室は図書館の一角に併設された演習室で、他と空気が違った。

 紙の匂いがする。インクの匂いがする。水晶の光の中に、古い時間が混ざっている。


 教授は淡々と、分類の体系を説明した。


「知は、置き場所で意味が変わる。分類とは、知の秩序そのものだ」


 私は頷いた。


 外交でも同じだ。

 情報は、並べ方で価値が変わる。

 何を前提に置くかで、相手の判断が変わる。


 ――だからこそ、私はこれを取った。


 演習は実践的だった。

 指定されたテーマに対し、資料を探し、分類記号を付けて、正しい棚へ戻す。

 単純だけど、奥が深い。


 私は、気づけば夢中になっていた。


 そして、最後の課題で詰まった。


 指定された書名が、どうしても見つからない。


 公開区画を回ってもない。

 索引を辿っても、表示される棚に“空白”がある。


 しばらく彷徨った後。私は、歩きながら“違い”に気づいた。


 同じ図書館なのに、空気が違う場所がある。


 奥。

 人がほとんど向かわない方向。

 光が少し落ち着き、音が吸われる方向。


 ――あそこ、何だろう。


 古びた本棚が集まる区画があった。

 木の色が違う。水晶の光の反射が弱い。

 本の背表紙が、どれも少しだけ古い。


 私は棚の前に立ち、指で背表紙をなぞった。


 ここには、公開区画のような“新しさ”がない。

 代わりに、積み重なってきた時間の匂いがある。


 私は、何かに惹かれるようにして奥へ足を伸ばした。


 その瞬間。


 背後から、紙を擦るような音がした。


 振り返ると、そこにいた。


 小柄。研究着。大きな眼鏡。

 黒に近いブルーの髪が、光の加減でわずかに光って見える。


 表情は静かで、感情が見えない。

 でも目だけが、よく動いている。


 その人物は、何も言わずに本を差し出した。


 私が探していた書名。


 私は一瞬、言葉を失った。


「……どうして」


 相手は短く言った。


「それは、公開区画にありません」


 声は小さいのに、しっかりと耳に届く。


 私は本を受け取って、目の前の棚を見た。

 確かに、ここに置かれても不自然ではない。


 私は、もう一歩だけ奥へ――入りたくなった。


 そうしたら、相手は、淡々と告げた。


「ここへ入ってはいけない」


 思わず動きが止める。


 相手は、まっすぐ私を見た。


 その目は冷たいわけじゃない。

 でも、揺れがなく、無機質な感情。


 リラの目を見つめたまま、静かに言う。


「あなたには“資格”がないから」


 その言葉が、図書館の絨毯に落ちて、音もなく沈んだ。


 私の胸の奥で、好奇心が火花を散らす。


 ――資格?

 ――何の?


 私は本を抱えたまま、息を整えた。


 ……そして、相手は何も名乗らず、静かに去っていった。


 まるで、最初から“そこにいた”みたいに。

ブックマーク、評価、コメント、お待ちしてます。

夜の現在地、という名前でXも更新しています。

作中では触れない設定をつぶやいたりもしていくので、もし良ければフォローお願いいたします。

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