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6話

 アウラとルークの挨拶が終わったあと、リリアとアルクも交えて談笑へと移っていたが、やはり話題の中で多いのはルークの学園生活の話である。

 アウラにとって一番関心のある話題であったし、アルク達にとっても息子が学園生活をどう過ごしているかは気になるところであった。


「兄さんが通う学園の雰囲気って、どんな感じなの?」

「んー……そうだな。険悪だったりとかそう言うのはあんまりないと思う。個人間のあれこれまでは分からないけど、少なくとも俺は良い友人に恵まれて満足してるよ」

「そうなんだ………えっと、じゃあ授業は?」

「楽しいな。今の成績にも自分の中では満足してるが、油断していたらすぐに追い抜かれると思う。でもそうやってクラスメートと競い合うのも、俺にとっては良い刺激になってるな」


 実に楽しそうに話すルーク。その充実した学園生活の話を聞いて、アウラはますます学園に通ってみたいと言う気持ちが強まってしまう。魔術を学ぶのが一番の目的だが、気の合う友人を作りたいと言う気持ちも当然あったからだ。


「アウラは学園に興味があるのか?」

「…………ある、けど」


 歯切れ悪く答えるが、その態度から彼女がどう考えたのかを察したのだろう。三人もやや表情を曇らせてしまう。


(あ、やば………そんなつもりじゃなかったんだけど………)


 何か話題を変えようと思った矢先、ルークもそんな空気を変えようと思ったのか先に口を開く。


「そう言えば、アウラの体調は?」

「あっ、えっと、ボクの体調?………悪くはない、かな?日常生活で困ることはあんまりないくらい、体力も少しずつ付いてきたし」

「凄いな。ずっと寝たきりだとは思えない。流石は俺の妹だ」


(………関係あるかな?)


 ルークの謎の自信にアウラはやや困惑したような様子だったが、そんな疑問を抱いたのはアウラだけだったらしい。

 寧ろ、リリアは肯定するように笑みを浮かべて頷く。


「えぇ、アウラも凄いのよ。最近なんて、独学で魔術を学んでいるんだもの」

「独学で!?参ったな、これはもしかしたら俺なんかよりもずっと天才かもしれない」

「はっはっは!うかうかはしてられんな、ルーク」

「みんな大袈裟だよ………」


 呆れつつも、同時に笑みが浮かぶアウラ。そんな穏やかな空気の中で、ルークが切り出した。


「なぁ、もし大丈夫ならなんだが………アウラを連れて街に出てみたいんだが、駄目か?」

「アウラを?………うーん。どうしましょう………」

「まぁいいんじゃないか?アウラも屋敷の中だけで退屈だろう」

「それはそうかもしれないけど………アウラ、どうする?」


 そうリリアに聞かれ、アウラは心の中でガッツポーズをする。以前から活動範囲を広げたいとは思っていたが、自分の体の事もあって二人には心配を掛けている事を理解していたため、自分からは言い出しにくかったのだ。


「ボクも兄さんと街に行ってみたい」

「じゃあ決まりだな。いいだろ、母さん」

「そうね………アウラも行ってみたいと言うなら仕方ないわ。けど、アウラのことはしっかり見ててあげてね?」

「勿論」


 ルークは力強く頷く。そうしてアウラの初めての外出が決まり、彼女は内心でワクワクしながらルークと行ってみたい場所などの話をしながら共に部屋を出る。

 談話室に残ったアルクとリリアは、ようやくちゃんとした兄妹の姿を見ることが出来たことに満足そうな笑みを浮かべていたが、やはりアウラの外出というのは心配でもあるようで。


「大丈夫かしら………ルークの事は信じてるけど、まだあの子も子供だし………」

「アウラも私たちの子だ。一人ならともかく、ルークが一緒ならば問題なかろう」

「でも、アウラは自分の外見を気にしているみたいだし…………」


 もう既に血も止まって包帯が血で汚れるような事はないが、それでも気にせず生きていけるかと言われれば、少なくとも貴族社会の中では否である。

 二人にとっては生きてくれていただけで十分だったが、誰にとってもそうだとは言えないのだから。


「………だからこそだ。それに向き合うことは、あの子以外に出来ない。私たちが何を言ったところで、本人の中で折り合いを付ける他ないだろう」


 そう話しつつ、アルクは談話室の廊下側ではない方の扉を見て声を掛ける。


「ティアネ」


 その呼び掛けに対して、ティアネがすぐにその扉から現れる。4人の談笑中に菓子やお茶を用意するために隣の部屋で待機していたのだ。


「なんでしょうか、旦那様」

「騎士団に連絡を入れてくれ。ルークとアウラが街に出る」

「かしこまりました」


 一礼をして、ティアネも部屋を出ていく。その姿を見送ると、リリアも少し呆れ混じりの笑みを浮かべていた。


「そんなこと言って、あなたが一番心配してるじゃない」

「そ、それとこれとは話が別だろう」






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