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15話

 セリアとの邂逅を終え、アウラは数冊の魔術教本を買ってその日は宿に戻っていた。新しい友人が出来たことを夕食の席でアルクとリリアに話していた。当然ながら二人はそのことを大いに喜び、明日のパーティーではロザリー家に挨拶をしなければいけないとも考えていたのだが、それはまた別の話である。

 そうして迎えたパーティー当日。昼頃に会場入りしたアウラ達だったが、それぞれが正装に身を包み、アウラはその白い髪と同じ真っ白なドレスを身に纏っていた。


(やっぱり少し恥ずかしい………でも、これからはこういう服も着ることになるんだろうな)


 初めて着るドレスに若干の気恥ずかしさを覚えていたが、それでも貴族の娘として生きることを決めたからには慣れるしかない。そう自分に言い聞かせ、3人はパーティー会場へと入る。

 事前に王都で行われるパーティーだというのを聞いて分かってはいたが、やはり会場は煌びやかかつ豪華を極めていると言ってもいいものであり、どちらかと言えば静かな雰囲気を好むアウラからすれば呆気にとられるのも仕方のない事であった


「うわぁ………」

「ふぅむ………悪くはないのだが、やはりここは明るすぎてかなわんな」

「………お父さんもこういうのは苦手なの?」

「まぁな」


 苦笑を浮かべるアルク。アウラはあまり意識していなかったが、アルファーネ家は三大貴族と呼ばれるほどの大きな家であるにしては、その屋敷の装飾などはかなり質素で控えめである。豪華であるのには間違いはないが、煌びやかさを好む貴族には物足りなく感じるのは間違いない。だからこそ、アウラは居心地の悪さを感じずに済んでいたという部分が大きいのだが。


「まぁ、文句を言っても仕方ないだろう。アウラも今のうちに食事などを楽しむと良い。夜になると人が増えて、催し物も始まるからな」

「うん………それと、あのことだけど」

「問題ない、舞台は整えたからな。後はお前次第だ、アウラ」

「………ありがとう、お父さん」


 笑みを交わす二人だったが、そんなアウラ達に近づいてくる人物が一人。それに気づいたアルクは視線を向け、同時に嬉しそうな笑みを浮かべた。


「アルク、元気そうで何よりだ」

「レイ!久しいな、こちらから顔を出せなくてすまなかった」


 そういって握手を交わすのは、やや長身で長い銀髪の男性だった。旧友という言葉通りアルクと年齢は近いのだろうが、その落ち着いた雰囲気故か少し年上のようにも見える。


「気にするな。その子のことを考えれば、無理はさせられんさ。それより………」


 レイはアウラへと視線を向ける。すると、アウラはハッとして頭を下げた。


「初めまして、アウラです。私が生まれたばかりの頃に、あなたに私は命を救われたと父に聞きました。遅くなってしまいましたけど、本当にありがとうございました」

「………あぁ、どういたしまして。容態が悪化していく様を聞くたびに私も己の無力さを悔いたが、こうして今に繋ぐ事が出来たなら何よりも嬉しいことだ。君の無事を心から祝福しよう、アウラ」


 朗らかな笑みを浮かべるレイ。親友の娘の命を救うことが出来たとこの目で確認することが出来て、彼は心から喜んでいた。しかし、同時にアウラの丁寧な挨拶への驚きも感じていた。貴族として考えればまだまだ指摘する部分も多いが、少なくともまだそういった教育を受けていないであろう子供にしては丁寧で、何よりも誠意を感じられるものであった。顔を上げたアウラと目が合あうと、彼は口を開いた。


「ふむ………とても聡い目をしている。話は聞いていたが、これはまた凄い子だな、アルク」

「そうだろう?私の自慢の娘だ」

「ふっ。ワイバーンを無力化したともなればそうだろうな。それに………アルク、少しいいか?」

「なんだ?」

「………その子は【星】に見定められた魔術師だという噂を聞いたが、それは本当かね?」


 彼の言葉に、アルクは小さく笑みを浮かべる。色々な意味を含んだ笑みだったが、付き合いの長い彼はそれだけで察したのだろう。それ以上は聞かず、ただ頷いた。


「そうか………将来が楽しみだな」

「うむ」


 そんな二人のやり取りに、自分のことだとは分かりつつも何も言えないアウラ。すると、リリアがそんな彼女の手をそっと取った。


「二人は積もる話があるでしょうし、私たちは向こうに行きましょう?お友達がいるかもしれないしね」

「うん、分かった」




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