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14話

 丁寧かつ優雅な挨拶に少し呆気に取られつつ、返事をしなければと我に返ったアウラも頭を下げる。


「アウラです。よろしくお願いします」

「えぇ、よろしくお願いしますわ………ここで会ったのも何かの縁ですし、良ければ本を探すついでにお話をしていきませんこと?」

「えっと…………うん。ボクでよければ喜んで」


 自己紹介を終えた二人だったが、セリアの提案によって本を探しながら雑談をすることとなった。

 彼女は今年8歳となるロザリー家の次女であり、地、風、火の3属性に魔術適性があるという珍しい少女でもある。そんな彼女もまた幼くして天才と呼ばれ、同時に魔術の魅力に取り憑かれた少女であり、今は宮廷魔術師を目指して勉強をしていると言う。

 なお、ロザリー家の貴族階級は侯爵であり、アウラほどではないもののそれなりの地位にいるのだった。


「その年齢にして魔術への知見が深いんですわね………どうやら、噂は本当だったようですわ」

「………噂って?」

「【呪い】に打ち勝ったアウラ嬢は、幼くして魔術の天才であると聞いていましたわ。そんなあなたが交流パーティーに出席すると聞いて、この機に面識を持ちたいと思っていましたの。けど、こうも早くその機会に恵まれるとは思っていませんでしたわ」

「そ、そうなんだ……」


 好奇の視線や憐みの視線にはある程度心構えが出来ていたが、こうして真正面から褒められるの慣れていなかったアウラは少し照れたように顔を赤くするのだが、無論決して嫌というわけではない。嫌悪を向けられるよりは、ずっと良いとも思っていた。


「家庭教師は誰を付けていますの?」

「家庭教師は………いない、けど……」

「はい?………じゃあまさかあなた、独学で魔術を学んでいますの!?」

「………うん」

「………はぁ~~~~」


 呆れた、という風にわざとらしいため息をつくセリア。アウラ自身は家庭教師が居てほしいとも考えているのだが、彼女の境遇を鑑みれば難しいだろうとも考えていた。

 寧ろ、【呪い】の事を知っていてなおも嫌悪するような態度もなく、それどころか友好的に接するセリアは貴族社会では確実に少数派である。


「いるもんですわねー…………真性の天才って………」

「え、いやいや………大袈裟、だよ?」

「嫌味にしか聞こえないですわー?………でも、それほどの才能の持ち主であれば大事にされるのも頷けますわ。あの騎士団長が直々に護衛だなんて、何事かと思いましたもの」


 セリアが合点がいったと言う風に呟くが、実際にはアウラ自身の才能や能力などは関係なくこうなっただろう。

 それはアルク達の過保護さを知っているものであれば予想するのは難しくなく、アウラとガイアは同じような考えが頭を過った。


「………家庭教師は欲しいなぁって思ってたんだけど………ね」

「そう………まったく、頭の固い連中は嫌になりますわね」

「………」


 寧ろ、何故セリアは自分を見ても普通に接するのだろう。そんな問いは失礼になる気がして口には出すことができなかったが、アウラの何か言いたげにセリアを見つめているのを見て彼女は呆れたように腕を組む。


「あなたも顔に出すぎですわ」

「えっ?ううん、ボクはなにも………」

「別に隠さなくたっていいですわ。私はただ、見掛けや生まれだけで人を判断する社会が気に食わないだけですもの」


 すると、そんなセリアの言葉が聞こえたのか、店主が小さく呟く。


「それが貴族ってもんじゃねぇんすかね………」

「聞こえてますわよ」

「すいません」


 鋭く言い放たれた言葉に店主は再び口を閉じる。そんなやり取りに苦笑を浮かべつつ、アウラも話し始めた。


「…………でも、確かにそれって貴族の在り方を真っ向から否定してるんじゃないのかな?」

「だからそう言っていますのよ。不自由なく恵まれて生まれた私が言っても、恐らく誰も共感はしないでしょうけど」


 肩を竦めるセリア。しかし、次の瞬間に彼女はビシッとアウラを指差す。その事に驚いて少し肩を跳ねさせたアウラだったが、セリアは言葉を続ける。


「だからこそ、あなたが一番声を上げるべきです!生まれがどうであろうと、自らの価値を証明して、世間の考えに一石投じるのですわ!」

「んなもん無理に決まってんだろ………」

「何か言いやがりまして!?」

「何でもないっす」


 思わずと言った店主の呟きに、やや口調を荒立てて怒鳴るセリア。そろそろ洒落にならなそうなのでもう口を挟むような事はないだろうが、店主の言うように一筋縄では行かないのも事実である。


「こほん………まぁ、そう簡単ではないのも分かっていますわ。けれど、あなたには可能性を感じましたの」

「可能性………って具体的にどんな………?」

「こう…………ビビッと来る感じですわ」

「具体的………あ、ううん。なんでもないよ。ありがと」


 爽やかな笑顔を向けるセリアに言い様のない恐怖を覚えたアウラはすぐに保身へと走る。齢8歳とは思えぬ圧の掛け方だが、アウラは誤魔化すように言葉を続ける。


「じゃあ、明日は楽しみにしてて欲しいな」

「明日………?パーティーで何かやるつもりですの?」

「んー…………秘密」

「そこでお預けですの!?」





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