図書館が好きです。
図書館が好きです。
静かだから。
行けば大体人がいて、司書さんは必ずいて、孤独ではないです。
誰もが何も言わず、干渉せず、本だけを相手にしていて、孤独でいられます。
図書館が好きです。
本がたくさんあるから。
調べ物ができます。
今どきはネットで調べられるものも多いですが、書籍や文献が一番です。
内容が精査・担保されている、というのもありますが、
たぶんページに手で触れるから、確かな拠りどころを感じるんだと思います。
『ニュースで見た』って人より、『新聞で読んだ』って方がインテリな感じしません?
あと、何よりスマホで調べているのは。
側から見たら、遊んでいるのとあまり区別がつかないものですから。
図書館が好きです。
ここにいる人はみんな、何かをしている感じがするから。
私も含めて。
図書館が好きです。
本は時間を飛ばしてくれるから。
人は何もしていなかったり、逆に現実の只中にいると苦しいもの
なのだと思います。
人を見ているとそう思います。
人であれば分かるかもしれません。
そんなとき本は、自分の日々の中にないものを教えてくれます。
熱中して読めば、掛かる時間だけ遠い世界へ行けます。
個人差はありますが、数時間潰せます。
何より、『無駄な時間を過ごした』と思ったり思われたりしにくいです。
図書館が好きです。
私の数少ない味方だから。
別にぼっちとか何かの僻みとかじゃありません。
妖怪狩りなんて世界は狭い。
頼れるものが多い方が異常です。世紀末です。蝋人形の館より怖いです。
でも図書館は、本は誰にでも門戸を開いていますからね。
そして私に知識を授けます。
今は中国の古い、仏教の説話をまとめた書籍にあたっています。
『禍』という妖怪? 怪獣? 霊獣? について調べものを。
図書館が好きです。
単純だから。
ここで人間がすることは、本を借りて読む。
それだけ。
あとはたまに、ノートやパソコンでレポートを書く人がいるくらい。
真似するのが簡単な動作ばかりです。
私も一応、生物組成は人間なので。
ここで同じ動作をしているかぎりは、
側から見れば人間です。
たぶん。
あ
ところで、私、図書館が好きです。
だって、ロマンティックじゃないですか?
え? 『BANANA FISH』でも読んだのか、って?
ちろん大好きですよ?
それはさておき。
図書館で待ち合わせなんて、雰囲気最高でしょう?
冬の、うんと寒い日がいいですね。
『図書館の中で』って約束だけど、ウキウキして入り口で待ってるんです。
約束の時間の45分とかまえに来ちゃって、待たされるんです。
実は1時間まえくらいに最寄駅についていて。
本当は本屋とかで時間を潰すつもりだったんですけど。
さすがにそんな長くはいられなかったんですね。
で、しばらく外で待っていると、あまりにも寒くて。
息が白いのを眺めたりしてるんですけど、そのせいで肺が冷たくなって。
手も『はーっ』て息を掛けるだけじゃもうダメになってきます。
手袋? 当然していません。
だって、手を繋ぐんですよ?
で、限界なので図書館に入るんです。
暖房が効いていて最高ですね。
メガネ掛けてたら真っ白になるような温度差です。
まだ時間があるので、適当な本でも読みながら待ちましょう。
できるかぎり、興味のない本がいいです。
どうせソワソワして、集中できないから。
読み耽っていると、相手が来たのに気付くのが遅れるから。
でもちょっとだけ、賢い女ぶれるジャンルがいいですよ?
何せ相手は、図書館を待ち合わせに指定するような人ですから。
で、内容は興味ないから、次々ページを捲っていくんですけどね?
それがスムーズになっていくのに
『あぁ、手のかじかみも治ってきたな』
とか感じるワケですよ。
そんな時間の経過に、時計を見ようと顔を上げたそのとき
見つけるワケです。
興味のない本なんかより、よっぽど見たかった顔を。
手の冷たさを、一番消し去ってくれる存在を。
でもまだ気付かないフリをします。
声を掛けてくれるのを待ちます。
散々待たされたんだもんね。
いよいよ名前を呼ばれたら、さも本に没頭して今気付いた顔で応対しましょう。
もう指は自由です。
完全な動きで、さっさと本の表紙を閉じてしまいましょう。
自分の生活とは違う世界を呼ぶ存在。
そこから離れて、大切な人との時間へ戻っていくのです。
ほぉら!
これほどロマンティックで胸キュンな冬のワンシーンはないでしょう!
最高だね。
誰かドラマにしてね。
私は交際経験がないので、全部脳内の映像妄想ですから。
つまり、何が言いたいかというと、
「花鹿ちゃん、見つけたよ」
私は今、とっても感動している、ということです。
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