クリスマス【EP2】
俺は、子供大嫌いだ。
いつもギャーギャー騒いでうるさい。
クリスマスなんて、とくに。
俺が幸せだと感じる時間は、彼女の麗華と一緒にいるときだけ。
「おはよう、ゆーちゃん」
毎朝起こしてくれる麗華。
明るくて優しくて、頼りがいがあって、なんでもテキパキこなす。完璧な女だ。
こんな女、世の中そういないだろう。
中学の時からずっと、片思いだった。
俺は引っ込み思案で、なかなか話も出来ずにいたっけな。
話した事と言ったら、係りや委員会でのちょっとした会話くらい。
二人で、ちゃんとした話なんてしたことなかった。
高校生になると、麗華とは別の学校になってしまった。
だが、奇跡が起きた。
友達の誘いで合コンにつき合わされた日……なんと、彼女がその席にいたのだ。
俺は勇気を振り絞って、彼女に自分の気持ちを伝えた。
すると、返ってきた答えは……
「私もずっと、気になってたのよ」
嘘だろうと思った。
付き合おうと、すぐに言われた。
何かの間違いだろうと思った。何度も思った。
でも、彼女は真剣だったようだ。
突然の事に戸惑ったが……
ずっと好きだった人と一緒になれるなんて、とても贅沢な事だ。
少し時間を貰って、翌日俺はまた告白をした。
俺たちは、付き合うことになった。
「ゆーちゃん、起きなってば」
俺が気持ちよさそうに寝ているというのに、麗華は布団をめくり上げる。
「よせよ」
「寝起きのゆーちゃん、かわいい」
そう言うと、俺にまたがって、キスをする。
俺はあんまりイチャイチャするのは好きじゃない。
だが、こうして甘えてきてくれている気持ちは嬉しい。
ただ、照れくさいだけ。
大人しく照れている俺に、麗華は無邪気に微笑んだ。
「ねえ、今日は何の日か知ってる?」
「さあな」
「ほら、今日ってあれだよ」
「お前の誕生日は夏だろ」
「もぉ、違うってば。大切なイベントがあるじゃない。冬に」
冬に……?
ああ、俺の大嫌いな、クリスマスの日……か。
どうして、麗華はこんな餓鬼みたいな日を楽しみにしているのだろう。






