麗華【ＥＰ３】
中学の時、好きな人がいた。
その人は、たいしてかっこいいわけでもない。
頭が特別いいわけでもない。
でも、惹かれたの。
だって、男の人に優しくされたのなんて初めてだったから。
私は、麗華。
中学二年の時、崎狭間中学校に転校した。
そのとき出会ったのが、優一。
そして、弟の雄二。
私は、どちらかと言えば人見知りで、人と会話なんて面倒でよく避けていた。
そもそも、男子も女子も嫌いだった。
いつも孤立している私を、男子はかっこいいとかお嬢さまっぽいとか言って騒いでたけど、
本当の私は、ヘタレだし、甘えん坊だし、家では男勝りで部屋は汚い。性格ブス。
勝手に雰囲気だけで好きになる男子どもが馬鹿らしくて、近づく事さえ嫌だった。
そしたら、女子は調子に乗ってる。ってね。
前の中学の時と一緒。
女はどうしてああやってグループ作って、
トイレでコソコソ人の厭味ばっかり言って……あーあ。馬鹿みたい。吐き気がするわ。
私はあんな女子とは違う。
でも、皆と違う事をすれば、周りは私をおかしいという。
私はおかしくなんてない。
おかしいのは、周りの人たちよ。
そんな、人から見ればおかしい私に声をかけてくれたのが、優一。
そうね。言ってみれば、初恋だったわ。
優一は心の優しい人だった。
言葉遣いはあんまり良くなかったけど。でも、見てて分かるの。こいつは悪いやつじゃないってね。
だから、好きになれた。純粋に恋をした。
でも、女って怖い。
「麗華さん？優一君は私が先に目をつけたのよ」
だって。
その後、ひどいいじめに遭うの。
別に辛くなんてなかったわ。
一番かわいそうなのは、……優一の方よ。
女子全員に「○○か、麗華、どっちか選びなさい」だなんて脅されて。
心の優しい優一は、何にも言えず、ただ黙ってた。
黙ってたら、女子たちはまた騒ぎ出すの。
○○の居ない時に、誰も来なさそうな場所に優一を呼び出して、いじめたのよ。
人間不信になった優一は、学校に来れなくなった。それくらい傷ついたのよ。
それでも私はのうのうと学校へ来ていた。
精神の強さの違いもあるでしょうけど、でも、優一の方が大変だったに違いないの。
優一のお見舞いに、家へ行ったとき、……その時初めて雄二に出会った。
雄二は優一と違って、なんにでも器用な人だった。社交的だし、周りに敵を作らないタイプ。
私はその頃、まだ優一の事が好きだったけど、雄二は噂の時点で私の事を意識してたみたい。
その事を知った時からかしら……私は、雄二に惹かれるようになっていったのよ。
