最期【EP2】
あれから一度家に戻った。
辺りが暗くなった頃、また、佐奈と一緒にクリスマス街へと出掛けた。
「欲しいものとかあったら言えよ?買ってやるからな」
「本当に?わーい。お兄ちゃん、優しい!大好き!」
そう言いながら、俺たちは手をつないで歩く。
また、離れ離れになったら大変だからな。
明るい光、幸せそうな人々。
ああ。俺も、佐奈も、幸せな人の仲間入りなんだ。
もし、佐奈に暗い人生が待ち望んでいたとしても、俺が絶対に守ってやる。
ああ、決めたさ。そうする。
佐奈は、俺が絶対に。絶対に守ってやる。
「お、お兄ちゃん……」
佐奈が突然、なにか恐ろしいものでも見るような声で、呟いた。
「どうした?」
「……あ……あぅ…………」
佐奈の目の先には何もない。が、佐奈には何かが見えているのだろうか。
「……!」
つないでいた手を、佐奈が離した。
そして、なにかを追いかける。
俺は、一瞬戸惑いかけたが、すぐに彼女を追いかけた。
「待て!佐奈!!」
――どんッ
鈍い、強い音が……街に響いた。
走り出した佐奈は、たまたま走っていた自転車にぶつかったのだ。
……俺と佐奈のであった、あの『街角』で。
慌てて、俺は佐奈の傍へ駆け寄る。
「佐奈あああぁぁッ!?」
頭の打ち所が悪かったのか……既に息を、していなかった。
ドクドクと赤い血が、頭から流れ出る。
どんなにおさえても、止まりそうにない。
どんどん手が赤く染まっていく。
悲しみと悔しさと恐怖で、出てくる涙も出てきやしない。
ああ……
俺は一体何をしていたんだ……?