表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と影  作者: 篠沢くるみ
10/11

最期【EP2】

あれから一度家に戻った。

辺りが暗くなった頃、また、佐奈と一緒にクリスマス街へと出掛けた。


「欲しいものとかあったら言えよ?買ってやるからな」

「本当に?わーい。お兄ちゃん、優しい!大好き!」


そう言いながら、俺たちは手をつないで歩く。

また、離れ離れになったら大変だからな。


明るい光、幸せそうな人々。

ああ。俺も、佐奈も、幸せな人の仲間入りなんだ。

もし、佐奈に暗い人生が待ち望んでいたとしても、俺が絶対に守ってやる。

ああ、決めたさ。そうする。

佐奈は、俺が絶対に。絶対に守ってやる。


「お、お兄ちゃん……」


佐奈が突然、なにか恐ろしいものでも見るような声で、呟いた。


「どうした?」

「……あ……あぅ…………」


佐奈の目の先には何もない。が、佐奈には何かが見えているのだろうか。


「……!」


つないでいた手を、佐奈が離した。

そして、なにかを追いかける。

俺は、一瞬戸惑いかけたが、すぐに彼女を追いかけた。


「待て!佐奈!!」




――どんッ



鈍い、強い音が……街に響いた。


走り出した佐奈は、たまたま走っていた自転車にぶつかったのだ。

……俺と佐奈のであった、あの『街角』で。


慌てて、俺は佐奈の傍へ駆け寄る。


「佐奈あああぁぁッ!?」


頭の打ち所が悪かったのか……既に息を、していなかった。

ドクドクと赤い血が、頭から流れ出る。

どんなにおさえても、止まりそうにない。

どんどん手が赤く染まっていく。

悲しみと悔しさと恐怖で、出てくる涙も出てきやしない。


ああ……


俺は一体何をしていたんだ……?









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ