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微かな光【EP1】
クリスマスなんて大嫌い。
街角ですれ違う楽しそうな家族連れや恋人たち。
私は一人ぼっち。だから、クリスマスなんて嫌い。
あの頃は良かった。
お母さんも居た。お父さんも居た。お姉ちゃんも居た。好きな人も居た。
なのに、突然居なくなっちゃうんだもん。
私は、独りじゃ何も出来ない。
いなくなってほしくなかった。
なのに、みんな……みんな消えちゃった。
私は何も悪い事、してないのに。
幸せそうな、暖かそうな光をワザと避けて通る。
なにも、見たくなかった。
私は不幸な人間だから、幸せな人たちとはわけが違うから。
だから、同じ空気になんて浸りたくもない。
肩を落とし力をなくしたように、私は歩く。
ある街角を曲がろうとしたとき……
誰かとぶつかった。
高校生くらいの男の人だった。
私は勢いよく吹っ飛んで、白い雪の上に転んだ。
「大丈夫かい?」
声をかけてもらった。
でも、余計なお世話。痛みなんてもの、全然感じないし……。
「すごい傷だらけじゃないか」
その男は、小さな私を抱きかかえると、どこかへ駆けていった。
私は、彼の胸の中で揺れながら、眠りについた。






