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つい昨日まで活気に満ちていた町が、今では焦土と化している。
ドラゴンが残した爪痕は大きかった。それでも、着々と復興作業が続いている。
緊急編成された討伐隊が、明日に到着するはずだ。ドラゴンもすぐには来れないだろう。
「お前はいったい何者なんだ?」
「司令官をサポートする副官です」
がれきを撤去しながら頭で響く声と問答を繰り返す。
「サポートってお前はいったい何をするんだ」
「状況報告、情報整理、指令通達、連絡調整です」
下敷きになった住民を救出しながら問答を繰り返す。
「このスキルは何ができるんだ?」
「使役する生き物の複製体、もといユニットを生産し、様々な作業に従事させます」
働くオルスを見ながら頭で響く声と問答を繰り返す。
「ユニットについて説明してくれ」
「了解。ユニットは、コストを使用して生産し、スキル発動中は司令官の命令に従います」
がれきに座り、水を飲み休みながら問答を繰り返す。
「コストってなんだ?」
「.......」
「答えれないのか.....」
目の前に浮かぶ地図の左上に1000COSTと書かれ、毎秒5ずつ増えている。
復興作業用にオルスのユニットを5体ほど召喚したところ、500ほど消費した。
「結構高いな.....」
ユニットの作業を見守りながら声と問答を繰り返す。
「ずっと展開しておくことはできないのか?」
「作戦が長引くと、コスト回復が徐々に遅くなります」
なんとなくこのスキルのことが分かってきた。
休憩を終え、復興作業に取り掛かろうとしたとき、遠くにいくつもの影が見えた。
巨大な気球を備えた飛行船が編隊を組み飛行してきた。
飛行船は灰色の広場に着陸し、討伐隊と伝令兵が一人おりてきた。
「クルトグラーフはいるか!」
「俺がクルトですが」
突然名前を呼ばれ、困惑しながら返事をする。
「王国陸軍司令部より通達!クルトグラーフを討伐隊に臨時編入する!」