追放
「クルト、悪いがもうこのパーティから抜けてくれ」
突然の追放宣言に一瞬思考が停止した。
「どうして、役に立っているじゃないか!」
理由はわかる、だが肯定したくない。
「知っての通り、俺たちはこれから陛下の指令の元魔界の探索に赴く。戦闘スキルのない君が生き残れるような場所じゃないらしい」
俺のスキル「テイム」は狩人や漁師向けで、冒険者向けではない。
テイムできる生き物は低級の生物や魔物。テイムできる数も5体まで、かつ簡単な命令しかできず冒険者的には「外れ」だった。
それでも俺たちは幼いころから、一緒に最強冒険者になろうと約束していた。
「まだ俺はついていける!」
本当は無理だとわかっている。
ただ、何度も、何度もともに戦い抜いた仲間たちを手放すのが嫌だった。
だが、リーダーのアレクシスは首を横に振り
「スキルの有無の差は実力で補うことはできない。もしかしたら、いや、君は確実に死ぬだろう」
アレクシスに悪意はないことはわかっている。
「君のことを見捨てるわけじゃない。これからも応援しているし、また別の道で君が活躍することを祈っている」
彼の優しさからくる言葉が、余計にむなしさを増大させる。
「わかった」
俺は力なく応じ、親友たちに背を向けて立ち去った。
「無理はするんじゃない」
友人の言葉を聞きながら。
降りしきる雨の中、湖のほとりの木陰で雨宿りをしていた。
いつもは鏡のように美しい湖が、雨のせいで濁っていた。
遠くから遠吠え、「ニャオ」のような短い鳴き声が聞こえ、一羽の鳥が舞い降り、枝分かれした美しい角の影が見え、茶色の毛並みの巨体が走る。
オオカミ、タカ、クマ、シカ、ヤマネコ彼らは俺の数少ない仲間だ。
「お前たちは俺を必要としてくれるのか」
少しのむなしさはあるが、孤独感はすっかり消えていた。
気づけば空は、美しく晴れ渡っていた。
俺は決心した。
「よぉし、仲間にもう一度認められるぞ!」
不可能かもしれないその目標は、当分の生きる糧になってくれるだろう。
テイムした生き物の擬人化、女体化はないです。