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華燭のまつり  作者: 白崎なな
第8章。華燭のまつり
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77。明日です!

 さっと起きて布団を綺麗に整えた。布団を整えている間に、黒狐と白狐が入ってきた。


「おはようございます!」


 ぺこりと下げる頭が可愛らしい。屏風型の仕切りを広げて、寝ている暖さんとの間を仕切ってくれた。



 屏風は、黒枠に白地でとてもシンプルだ。部屋自体がシンプルなつくりなので、調和がとれている。



 それにしても黒狐と白狐は、寝ているのだろうかと思えてくるほど働き者だ。こうして昨日も手伝ってもらい、朝も手伝ってもらっている。



「いつも手伝ってもらってるけど…… 二人は、ちゃんと休めてますか?」


 黒狐が帯を結ぶとかわいらしいリボン結びにしてくれていた。今日は、白狐が結んでくれるようだ。私の背中で白狐がお太鼓結びにしながら、くすくすと笑い声をあげている。

 

 振り返りたくても、動くことができないのでそのまま白狐がこちらにくるのを待つ。



「しっかり寝ていますよ。ご安心くださいね」



 私を落ち着かせようと、言ってくれているのがよくわかる。


(やっぱり、自分で着れるようにしよう!)



 白狐が結び終わったと背中をぽんっと押され、姿見を私の目の前まで持ってきてくれた。


 クルクル回ってみて、姿見で確認する。ふたりもやはり、着付けもヘアアレンジもなれている。

 今日は、ハーフアップにしてかんざしをつけてくれている。


 かんざしの綺麗な青色が、窓から差し込む朝日によって光を放っている。


「いつも、ありがとうございます!」


「恋坡、準備はもういいのか?」


 部屋を仕切っていた屏風の向こうから、暖さんの声が聞こえてきた。


 どうやら気が付かないうちに、起きていたようだ。静かにしていたつもりだったが、もしかしてうるさかったのかと思い咄嗟に口を手で押さえてしまった。


 屏風越しで、私が口を手で押さえていることを知らない暖さんは、不思議に思ったのかペタリと足音をたててこちらに近づいてくる。

 

(あっ、つい口を押さえてた!)



 私は、慌てて手を離して返事をした。ささっと動いて、黒狐と白狐は屏風を片付け始めた。



「あ、はいっ!」




 ふわぁっと大きな欠伸をして、軽くはだけた胸元を整えている。


 いつこちらに戻ってきたのかはわからないが、とても眠たそうにしていたので遅くに戻ってきたことは間違いなさそうだ。かなり眠たそうで、また布団と友達になってしまいそうな雰囲気を感じる。


「今日は、昨日の片付けや使いのものが来る。これを持って、和のところに行ってほしい」

 

 そう言って袖から出した手紙を私に、差し出してきた。黒狐と私で向かい、暖さんと白狐が稲荷神社に行く事になった。


(そもそも、数日で華燭のまつりって言っていたけど? いつなの? え、当事者が知らない結婚式とかある?)


 数日後であることは間違いなさそうだが、具体的に教わっておらずいつなのかを知らない。……本人の知らない結婚式なんて聞いたことがない。人間界でと言っていたが、どういう流れなのかも良くわかっていない。


(あれ? ちょっと待って。私当事者なのに何も知らないって、まずいのでは?)


 黒狐と和さんの店へ向かう道中に、そう考えて不安になった。黒狐に尋ねれば、どれも答えてくれそうだ。


「黒狐? 華燭のまつりは、いつあってどう進行するのです?」


 黒狐は、きょとんとした顔で私を見上げてくる。まるで私が変な質問をしたかのようだ。その表情に私は、目をぱちくりと瞬きを繰り返した。


「恋坡さま? あ、明日ですよ?」


(ん? なんて?)


 聞こえてきた回答が予想外で、私は歩いていた足が止まる。驚きのあまり、瞬きも忘れてしまうほどだった。



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