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華燭のまつり  作者: 白崎なな
第5章。雷!
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43。制裁!

 私のことを見て、暖さんが少し微笑んでふたりのおにに視線を戻した。


 「そんな私欲のために、ひとり人が死んだ。

 そして、こうして妖界あやかしかいの秩序が乱れた。その制裁は受けるんだろうな?」


 今まで聞いた暖さんの声の中で、一番冷たい声だった。強めに握った私の手を暖さんは、同じ強さで握り返してきた。

 大丈夫だと手の強さが答えてくれる。



 私は、そういえばと思った。打ち出の小槌は、使う人によっては危険だということを。

 そして、いま赤の打ち出の小槌は案内役のおにの手元にある。もし、ここで使われたらと思うとゾッとする。それならば、いっそここで早めに桃の実を投げるべきかと考えた。



 「でも、直接手を下したのは天狗だろう? それに、挑発はやめた方が身のためだよ。打ち出の小槌があれば、思うままにできるからね〜」

 いかづちが、太鼓をぽんっと叩いた。その音に反応して、黒い雲が徐々に下に降りてくる。




 「もし、呪いをかけられていても。私が解呪かいじゅしよう。お前は、やはり生かしてはおけん」

 そういっていかづちは、もう一度太鼓を叩く。その音がなるのとほぼ同時に黒の雲から雷が発生する。もう一度、いかづちがバチを振り上げ叩こうとした。



 おそらく次は、雷が落ちるのだろう。叩かれる前に、私は暖さんに繋いでいる手を引かれて抱きしめられる。抱きしめられたと思ったら、太鼓の音が響き渡った。そして、太鼓の音が消えかけた時目の前が真っ白になるほどの光を浴びた。



 とてつもない地面の揺れで、私たちは吹き飛ばされる。暖さんに抱きしめられたまま、地面に横たわった。


 「恋坡?」

 地面の揺れがおさまると、暖さんは私の肩を軽く叩いた。目を開けると、眉を下げた暖さんと真っ黒に染まった空が見えた。



 「大丈夫です…… 皆さんは? それに、おにたちはどうなっていますか?」

 私は横たわったまま、暖さんに聞いた。私がいつも通りだとわかって、ほっとしたのかいつもの表情に戻った。

 そして、私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれた。周りを見ると、みんなも無事なようだ。



 いかづちの周りに漂う黒い雲、いかづちの前に立つ案内役のおに。未だ睨み合っていた。

 案内役のおには、黒い着物の袖が焼けて穴が空いていた。直撃とはいかずとも、雷に当たったように感じられた。



 睨み合ってるいまが、桃を投げる隙になるだろうか。おにから目を離して、左手に持っていた桃に目を落とした。私の視線の動きに気づいたのか、暖さんに左手首を掴まれた。そして目が合うと、首を振られた。まだ今ではないようだ。



 「……う! なんだ?」

 花さんのショートヘアだった髪は、8本に伸びて別れた。その髪の毛は、案内役のおにの腕や足に巻き付いていた。暖さんが、狐火を出して投げつける。狐火が足元を燃やす。

 


 身動きが取れず、足元から燃やされる案内役のおに。そして、ジタバタともがいている目の前でいかづちが太鼓を2回叩いた。

 同じように雷がドンッと落ちた。私は、思わず目を閉じて暖さんの腕に擦り寄った。優しく私の頭を撫でてくれた。



 1度目の雷ほどではないが、光とともに地面が揺れる。


 光と揺れが落ち着き、顔を暖さんの腕から離して目を凝らして見る。立っていたであろう、案内役のおにの姿は見当たらない。

 花さんの伸びた8つの髪の毛もすでに元に戻っていた。



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