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華燭のまつり  作者: 白崎なな
第3章。天空街にいくの!?
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29。大桃樹!?

 大桃樹だいとうじゅというのは、 "おにをらう桃の木" なのだ。その木になる桃は、霊力れいりょくをもち邪鬼じゃきを払うことができる。



 桃の木自体に霊力れいりょくがあると聞いたこともある。

 そして大桃樹だいとうじゅについても諸説があり、天界にある桃畑の木という説や人間界の大きな桃の木という説である。それとも、元々そんな大桃樹だいとうじゅと呼ばれる木は存在しないか。



 なので、ここの世界に大桃樹だいとうじゅがあるかも分からない。そもそも、どの木でも霊力れいりょくがあるとしたら? わざわざ、その木でなくても良いのかもしれない。



 私は、桃の木について考えつつ聞く。

 「まずは、桃の木がどこに生えているかですね」



 「桃の木って、たしか……

 天空街といかずち街との狭間になかったかな?」



 「律さん! その話は本当ですか? 

 それなら、大幅な寄り道も避けられますね!」




 桃が手に入れば、豆は手に入らなくてもなんとかなるだろう。私は、よかったと胸を撫で下ろした。

 おにを倒すことができる桃は、どんな色をしているのだろうなどと呑気なことを考え始めていた。




 「もしかして、天狗がいる山の話? そこしか、狭間の場所って考えらないんだけど」



 和さんが、とても嫌そうな顔をして言った。私も、天狗に反応した。天狗といえば、危険なイメージを持つことも多い。しかし、魔物から山の神になった唯一の妖なのだ。




 以前みた小説に、迷子の子供を助けたり嵐から風を操って村を助けた。と書かれていたことを思い出した。

 私からすると、いい妖という印象を持っている。なので、和さんの反応に少し違和感を覚える。



 「昔、天狗の山に連れ去られたんだ。僕と暖がね!

 そこから助けてくれたのが、和なんだよね!」



 (もしかして前に話していた、 ”助けてあげたのに” というのはこの話?

 というか、天狗はいい妖なんじゃ? 攫われてって、悪い妖なんだけど)




 「そうよ? あの時は、たまたまここに着物を持って来てた日だったから良かったのよ? 天狗のいる山に向かってるあなた達を見た時は、心臓が止まるかと思ったんだから!

 とにかく私、あの山にはいきたくないの」



 助けた、ということは天狗からしたらあまりいい印象を残していないのだと考えられる。さらには、そんな相手に ”桃をくれ” と言われてもよく思われないだろう。

 和さんの意見はもっともだ。でも、その桃がないとおにとは戦えないだろう。とても頭を悩ませるはなしだ。




 「桃の木は、天狗の山以外にないのでしょうか?」

 もしそこ以外にあれば、避けられる衝突は避けるに越したことはない。



 「ない。あの時も、桃を取りに行ったんだ。そこで見つかって里に連れて行かれたんだ」

 速攻で、暖さんに否定をされてしまった。なぜその時は桃が必要だったんですか? と聞きたくなるのをグッと堪えた。



 律さんが、私の顔を見て笑っていた。

 「桃を食べると長生きが出来ると聞いて。暖のお母さんに食べてもらおうとしてたんだよ」



 「そ、そうだったんですか。」

 律さんは、はなしを割愛してしまう暖さんといるからか心の声を読むのが得意なようだ。

 


 「桃は、諦めて! 豆にしましょう?」



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